第19話 異能レベル2 第二の異能が発現!?
今日の服装はブカブカの白シャツにデニムのジーパンでカジュアルなファッション。
仕上げに自分の髪色と同じ漆黒で艶やかな黒翡翠の首飾りをつける。
「いつ鏡姿を見ても美少女だな、オレは」
これから涼香とお出かけするために、姿見鏡の前に立って服装の確認を取る。
やはり元男の心が宿っているので、美少女が瞳に映るとテンションが上がる。
要するに、ナルシストである。
「さて、涼香の所に行くか」
触手を器用に操作して服を着替え終わり、その後は支えのために杖の様に扱うために硬化させる。
前回と同じ待ち合わせスポットである広場に着くと、すでに涼香が待っていた。
「あっ、ゆりちゃん!」
「お待たせ涼香」
オレを見つけると、涼香は太陽のような満面の笑みで手を振り主張する。
今回の涼香の服装は上がワインレッドのサマーニットに下は少しゆるゆるの黒のワイドパンツで綺麗系で纏められている。
「今日も可愛いね涼香」
「ありがとう♪ ゆりちゃんもスマートでカッコいいね」
「サンキュー、んじゃ行こっか」
前のようにナンパなど起きることなく、無事に合流できた。
二人は手を繋ぐ。
これから向かうのは、民間の鑑定屋ではなく区役所の2階にある鑑定屋だ。
そこは国家公認の鑑定許可証を持っており、精確かつ詳細に異能を見てもらうことが出来る。
何より、鑑定後はすぐに身分証の手続きがしやすいためだ。
民間も営業するために鑑定許可証が必要だが、具である疑似異能を使ったり、鑑定の異能レベルが低いこともあるので当たり外れがある。
「初めて区役所の2階にきた。 レストランや図書館といった書類系の手続きするだけの建物じゃないんだね! ほら、見て涼香。 あそこのレストランのハンバーグ美味しそう!」
「そうだね。 目的が済んだらレストランに寄ろうね」
前世はそこそこの田舎で役所がただ書類手続きするだけの施設という認識だったため、そのギャップでテンションが上がってしまう。
鑑定屋に着き、入り口のすぐ近くに受付番号の発券機があり、発券を受け取り順番が来るまで涼香と雑談で暇つぶしを行う。
「異能レベルが上がってるといいなー」
「きっと上がってるよ! だって、道場で一生懸命に鍛えて、試合では全力の勝負をやってたの知ってるから!」
「でも、同じくらい頑張ってる涼香は、レベル上がってないのは可笑しい」
「そういうのは個人差あるから、仕方ないよ」
「もしかしたら、人知れずに上がったりして」
「そういうことあるのかなー?」
「もし上がってたら、どんな異能だったら嬉しい?」
「私は今の水生成に関連していればいいかな。 欲を言えばお姉ちゃんの水流操作とかかな」
「涼香にその異能が付いたら、もう負けなしだな。 無から生成しながら自由自在に操るなんて脅威過ぎる」
「ゆりちゃんは何がいいの?」
「オレは決定力が欲しいかな。 火力不足を補えるなら、とりあえず何でもいいかな」
「今の異能が強化されるのか、別の異能の発現で迷うよね」
単純に身体能力が上がる身体変化系だったら、触手に頼らずに戦えるのは魅力的だ。
もし既存の異能の強化だった場合、内容によっては同レベルでマッチングしやすいランダムマッチではかなり勝率に差が生まれる。
現象系だった場合は、強力な異能が多いため手数が増える。
「次こそは強い異能が発現しますように……!」
髪に願うように拝んでいると、オレたちの順番が回って来た。
案内によって個室に向かうと、表情が柔らかい女性が座っていた。
「次のお客様、こちらへどうぞ。 この用紙に名前を記入したら手をこちらに出してください」
鑑定師に言われた通りに名前を記入して、右手を前に出す。
すると、女性はオレの右手を両手で包むように重ねて、異能を発動する。
「ふむふむ、なるほど。 蛇谷さんは、異能レベルが2に上がって新たな異能が発現してますね」
「おぉー、やった!」
「よかったねゆりちゃん!」
「しかもレアな異能ですね。 良かったですね」
「鑑定師さんが言うならかなり期待出来そう!」
鑑定師が異能を発動後、先程の用紙に新たなに発現した異能とその詳細を記載していく。
内容を掻き終えると、裏面にして渡してきた。
紙を受け取り、そこに書かれた内容を確認する。
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異能レベル2
異能:『粘液生成』
異能者中心から半径1m範囲内に粘液物質を生成する。
粘液が一度に生成できる量は体力依存。
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この内容を見て絶句してしまった。
つまり、これはローションを生み出すだけの異能だった。
成人向けのゲームだと、触手にベタベタした粘液が付着した描写が多いが、だからといって現実でこんな異能を発現してどうしろと言うのか。
「えっ……、まじかよ」
先程まで、異能について話に花が咲いてたのに期待を裏切られた。
しかも、当たりが多い現象系を発現したことにチェンジをしたいと強く願ってしまう。
「ゆりちゃん、やったね! 前から言ってたチートの現象系だね!」
「それは煽りで言ってるのかな、涼香?」
「ううん、そんなこと思ってないよ! だって、粘液って相手の行動を阻害出来そうな感じがしない? 上手くいけば、ゆりちゃんの攻撃が今まで以上有効になるはずだよ!」
「……なるほど、そういう使い方があるのか」
涼香に諭されて、この異能が当たりの部類ではないかと思ってしまう。
だけど、頭の中にはローションしか思い浮かぶことしかできない。
これはつまり、相手とローション相撲をして、足を滑らせて思うように動かすこと出来ず試合の場を支配するということか。
もしかしたら、ほかの使い道があるかもしれない。
こればかりは実践で使い方を掴み工夫するしかないようだ。
「そちらの子も鑑定でしょうか?」
鑑定師は涼香の方に視線を動かす。
「付き添いで来たのですが、私も見てもらってもいいのですか?」
「ええ、いいですよ。 ついで、です」
「ありがとうございます!」
オレと涼香が椅子を入れ替わり、前に出された用紙に名前を記入していく。
鑑定師が涼香の綺麗な手に手を重ねて異能を発動する。
「あなたも異能レベルが上がってますね」
「本当ですかっ!?」
「えぇ、あなたの異能は既存の異能の強化の様ですね」
鑑定後に記入した用紙を受け取り、記載内容を確認する。
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異能レベル2
異能:『水生成:出力強化』
生成する水の量と出力量が、以前より多くすることが出来る。
一度に生成する水の消費体力が少し減少する。
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用紙を除き読むと、涼香の新しい力はオレみたいな変態したような強化ではないため、文面見ただけ扱い熟せるであろう。
「この異能は私的には微妙かな……。 すでに武器で活用してるから」
そう、涼香の武器は金に物を言わせて作らせた疑似異能付きの武器だ。
その疑似異能と”出力強化”が被ったことに落胆してしまう。
「分からないよ、武器の効力と合わさってさらに強くなったかもね」
「ゆりちゃん、ありがとう」
「うん、だから後で組手やろうぜ!」
「そうだね、あとで道場によろっか」
鑑定が終わったことで支払いを済まして、区役所の一階に降りて身分証の変更手続きをする。
その後は、間食として二階のレストランで少し休憩する
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あとがき
主人公の第二の能力がまさかの異能!?
鬼が出るか蛇が出るか分からない性能、今後化けるかもしれません。
これから成長すれば、第三第四の異能が解放していくので、その時が楽しみです!
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