第16話 涼香 vs 若葉
公式戦を初勝利で飾り、心身ともに消耗した。
そのおかげか、対戦相手に触手を使った打撃、貫通攻撃と絡み手による相性の選択に磨きが掛かり、新たな技も得て成長した気がする。
「いやー、完敗したよ。 途中までは勝ったと思ったのになぁ……、ははっ」
「対戦ありがとうございました! かなりギリギリの戦いでしたよ」
無事、試合が終わったので対戦相手の兜森さんと握手後に一旦この場が立ち去り、近くのベンチに座る。
「ギリギリに追い詰めてなかったら、自信満々に挑発できないよ、まったく。 これでもシニアにランクアップ候補だったんだけどね、あなたは少なくてもシニアクラスまで上がるかもね」
「それは……、ありがとうございます?」
「なんで、そこで疑問なのよ。 言っとくけど、シニアクラスに上がれる逸材はそうそういないわよ。 だって、条件達成する段階で心が折れる選手が多いもの」
「条件……ですか?」
「あら、知らなかったの? シニアクラスに上がるには、10勝以上で勝率は3割以上よ。 その勝率に関しては、どうしても異能の練度を鍛えないと叶えられないわ。 だって、相手は異能レベルが2以上の相手も当たるもの」
この条件に置いて厳しいのは、異能が格上と当たる場合があるからだ。
異能レベルに差があることは対戦相手は使用している異能ほかに異能を持っているので、圧倒的な不利となる。
そのため、白星をつけるというのは才能と運が必要である。
「だから、この勝利は確実に才能がある証明されたと思うわ。 今回は負けたけど、次はレベルを上げて絶対に勝つわ」
「次も勝ってみせます! 今度、この異能を鍛えて強力なものをみせますよ!」
彼女はベンチから立ち上がり、振り向いて小さく手を横に振りながら立ち去る。
彼女の「才能がある」という一言で、自分の中に少し自信がついたことで、不安だった異能に対して向き合えると思えた。
「これが異闘か……。 道場の他にもあんなに強い人がいて、それに勝ったんだ……」
オレは彼女が視界からあるいなくなった後、ベンチを少し深く座り背もたれに体を預ける。
タオルを顔に被せて、少し間目を瞑る。
そこには、先ほどの試合の光景が浮かべ、呟いた。
◇
優里香が試合をして中盤に突入した頃、涼香は1階の待機場所から出て試合場に向かう。
そこで、丁度次の対戦相手である彼女と出会ったので、一緒に向かう。
「次の相手の水上さんね、よろしく」
「よろしくお願いします、佐々木さん」
彼女は、
涼香の次の対戦相手で、6戦6勝の絶好調の選手だ。
この情報はデバイスの対戦メニューから仕入れた情報だ。
「水上ねぇ……。 偶然かも知れないけど、あの水上選手の身内?」
「水上麗のことを言っているのであれば、私はその妹よ」
「そう、だったら私が勝ったら水上選手の直筆サインをくれない?」
「言いですけど、サインは自分から依頼することになりますよ」
「ふふっ、言い返しね。 余計にあなたから貰いたくなった」
試合場に着き、試合の前振りを行い戦闘開始となる。
彼女は着ている学校指定のジャージのポケットから取り出したヘアピンで、若葉色の前髪をかき分ける。
涼香は2丁の水鉄砲を構える。
「さて、行きますか。
ジャージのポケットに手を突っ込み、取り出したのは2枚の竹の葉だった。
異能を使ったのか、手に持ったペラペラで垂れていた葉が直立した。
「植物系の異能? 実先輩のように操作するかも知れないし警戒しないと……」
涼香は警戒しつつ、左手で構えている水鉄砲の引き金を引く。
銃身から出た水の勢いはまるで弾丸を放ってる様だ。
そんな水弾を彼女は葉を投げて相殺させる。
「あなたの武器、ただの水鉄砲ではない!? 何その威力……」
「そっちこそ、私の攻撃を弾くなんて凄い異能。 私の水が簡単に真っ二つに割れたのだけど」
涼香は少し冷や汗を搔いたが、さっき投げた葉を投げさせないための牽制、避けるためと次の一手のために、彼女の周りを走り出す。
「無駄だよ。 私の葉まだ一杯あるからリソースは尽きないよ。 葉刃!」
竹の葉を取り出して、異能で硬化してクナイを投げる様に次々と飛ばす。
それを撃ち落とすため、水鉄砲で撃つが葉が薄いため当たりにくく命中しない。
「くっ……!?」
「まだまだ、あるからね」
完全に避けることが出来ず、直撃しなくても葉刃により擦り傷が増えていく。
それに対して涼香が放つ水が彼女の服に当たると弾かれる。
「嘘でしょっ!?」
今の現象を見て、涼香は驚く。
何故ならば、涼香が使用している水鉄砲は彼女専用として特注した疑似異能”出力強化”が埋め込まれた水鉄砲だ。
発射される水は、弾丸のように強化されて放つため、弾かれるなど微塵も思っていなかった。
「あなたの攻撃、痛いわね……。 ビギナークラスでどんな異能をしたらこんな威力が出るのよ」
「ただの水の異能だよっ! このぉーっ!」
涼香は足を止めて、水鉄砲の側面にボタンを押す。
その場で彼女に目掛けて引き金を押し続ける。
すると、銃身から水が連射する。
「これは……、さすがに食らった負けるっ!」
彼女は着ている上ジャージのシッパーを素早く下して、脱ぎ始める。
脱いだ上ジャージを縦に少し折り、へたばる上着を異能で直立させて盾のように構える。
連射された弾丸は、彼女によって盾となった縦に軽く折れた上着で次々と左右へ逸れていく。
だが、弾丸による衝撃で手に負担がかかる。
「やば、服が……持っていかれる!?」
「高威力だけど、常に異能を発動するのキツイ……、早くやられて!」
両者共に激しく体力が消耗する。
涼香は水鉄砲で連射する度にタンクの中に水を生成し続ける。
彼女は異能による体力の消費は少ないが、盾が飛ばされないように手は力を入れて、足で床に踏ん張って耐えている。
連射による乱れ撃ちにより様々な方向に衝撃が走るため、等々服が弾丸の衝撃で後ろの方に飛ばされる。
盾を無くした彼女は、葉を硬化してメーターの光が失うまで切り付けてようと抵抗するが、涼香の気合勝ちで光が失うまで連射していた。
この試合の勝者は涼香で終わったが、試合が終わったと同時に根気が尽きて前に倒れた。
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あとがき
主人公とヒロインの戦闘シーンを書いたけど、
主人公は臨機応変に戦えるが、少し火力不足な感じですが、
ヒロインの涼香は圧倒的な火力で、さすがにチート過ぎたかな?
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