第13話 この異能は……。

喫茶店でニュースを見てから、より一層稽古に励んだ。

それは同年代で、すでにデビューして次のクラスに在籍したことに嫉妬したからだ。


「最近のゆりっち、攻撃にキレを感じるよ」

「それでも縁は避けるじゃん」

「それは仕方ないよ。 攻撃を察知するんだもん」

「回避特化は普通に相手しづらい」

「でもね、回避だけだと試合に勝てないのよ。 せめて、手か足のどちらか変身してくれれば攻撃しやすいけどね」

「レベルが上がることを祈らないと」


稽古中、先ほどまで縁と組手をして、少しの間だけ休憩をしている。

組手の内容は、序盤は触手で攻撃をするが縁の猫化によって攻撃箇所を察知と予測を駆使して避けられるが、縁も攻撃しないとメーターを削れないため、終盤は接近戦になり触手による攻撃を繰り出した。

メーターは全て削ることは出来ずにタイムアップでメーターの量が多いオレが勝った。


「はぁ……、アタシのデビューは当分先かな。 今のままだと、攻撃力が無さ過ぎて勝てない……」

「オレも早くデビューしたいけど、攻撃速度を改善しないと勝てない」


触手操作によって操作している間は無防備なため、縁や武藤といった攻撃を避けたり、受け止めたりされると打つ手がほぼない。

この異能は身体変化系にかなり弱い。


「そう言えば、りなっちはそろそろデビュー戦するらしいよ」

「まじでっ!? 武藤さんすげーな」

「元々、武道やってて、さらに異能も攻撃力高めだからね」

「試合はどこでやるか聞いてる?」

「隣町の武道館だって」

「応援しに行かないとね」

「うん」


異闘では、エリートクラス以下はテレビで中継されずに異闘の連盟が許可している施設で、連盟の人が一名以上が審判すれば公式戦が出来る。

一応、この道場は連盟に許可されているため、審判に連盟の人が審判すれば試合が出来る。

そのため、この道場の設備は整っている。


「ゆりちゃん、縁ちゃん何話してたの?」

「おっ、涼香お疲れ」

「すずかっち、おつかれー!」


今さっきまで西念さんと組手をしていた涼香が帰って来た。


「武藤さんが今度デビュー戦するから、応援するって話」

「へぇ~、そうなんだ」

「聞いてきたのに、興味無さそう……」

「その反応は武藤さんに失礼よ、すずかっち」

「そうね、失礼な返事しちゃったわ」

「すずかっちはゆりっちのことにならないと冷めることが多いからねぇ」

「それは……、否定できないね」


「蛇谷、武藤。 次はあなた達で組手しな!」

「押忍!」

「は、はいっ!」


三人で話していると、師範のお婆さんに組手を再び行うよう呼ばれた。

そのため、胸にメーターを取り付けて前に出る。








組手の結果は惨敗。

彼女と試合して、勝率は今のところ0%。

今回の戦いでは武藤はなるべく攻撃を受け止めずに回避を優先して立ち回っていた。


「さすがに強いなぁ」

「そっちも、あの触手攻撃がきついっす。 この異能じゃなかったから簡単に負けてるっすよ」

「そうかな? これまで組手してきて、ほとんど負けてるんだが?」

「同期達の異能が悉く相性悪いっすからね……」

「そう思いたいよ」

「暗くならないで、自分の異能を信じるっすよ。 ここ最近は受け止めるのも苦労してるっすから、徐々にレベル上がっていると思うッス」

「そうかな……?」


組手が終わり、武藤さんとゆっくりと休憩している。

また負けてしまい、自信喪失気味が加速していたのに、励ましてくれた。


「そうっすね……。 あの触手による薙ぎ払いとか受け止めると痺れるときがあるっす。 そのくらい威力あるので、直接食らったら一気にメーターの光が削られるっす」

「なるほど……。異能レベルじゃなくて、熟練度によって触手の威力が変わっているのか……」

「単純な身体能力を上げるだけの異能の私だと分からいっすが、熟練度によって強くなるって聞いたことがあるっす」

「凄く参考になったよ、武藤さん」

「どういたしまして」


気休めのアドバイスだったかもしれないが、この異能でも戦えるのならオレもデビューしたい。


「オレもデビューしてみようかな」

「蛇谷さんもっすか! 一緒に頑張ろう! 一緒に競えると思うと、ワクワクするっす!」


武藤さんは前向きで明るい、それにより心の霧が晴れたような気がする。

オレはこの時から、デビューするための覚悟が決めた。

この後、師範に相談してみるか。


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あとがき


次回は恐らく、主人公が異闘デビューすると思います。

当分は戦闘パートばかりになります!


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