第3話 異能力講義

全クラスの異能力診断が終わり、再度体育館に集合することになった。

体育館には巨大なスクリーンにパイプ椅子が並んでいる。


クラスごとに指定された範囲に座り、全生徒が集まると照明が落ちてスクリーンに資料が映し出された。

一人の女性がマイクを取る。


『これから、異能について説明をしたいと思います。 皆さん知っての通り異能とは女性だけが持つ異質な能力です。 起源は不明ですが、能力によっては社会に多大な貢献を与えています。 使い方を誤ると兵器と等しく危険ですので、この講義で皆さんは学んでほしいです』


マイク越しから聞こえる美声は、脳にすんなりと入る。

これも異能の力なのか。


『最初に言っときますが、異能は人に対して殺傷行為が禁止されています。 さて異能ですが、大きく分けて3つの系統があります。 身体変化系、物質操作系、現象系の三つがあります。 まずは身体変化系です。 これは身体に影響する異能です。 例を挙げますと筋力上昇や脚力上昇といった身体強化。 体の一部を動物や無機物に変化などと言ったものです』


身体変化系の異能はどこかのデータで見たけど、得る確率が6割ぐらいと言われる、ポピュラーな異能だ。

異能によっては、もしかしたら系統最強になれる可能性がありそう。


スクリーンに映し出された資料は、図解によって分かりやすい。


『次は、物質操作系です。 これは異能によって対象となるもの触れていれば効果が発揮する異能ですね。 例を挙げますと、異闘で最近注目されている水上選手ですね。 彼女の異能は水流操作で触れている水を自由自在に操って翻弄と怒涛の攻撃を繰り出す選手ですね。 あのように物質に触れている間に作用される感じですね』


異闘いとうとは、異能力異種格闘技を略した言い方だ。

異能力を使った格闘技で、武器の持ち込みが可能。

禁止行為としては、選手がダウン後の追撃、審判が止めている最中に攻撃、相手側のメーターの光がなくなった状態での攻撃の三項目だ。


女性はPCを操作して、スクリーンには水上選手の戦闘映像が映し出された。

その姿は、会場に持ち込みしていた水筒を下に向けて開けて、中身の水が出たところを、武器として扱っていた。

さらに、飛び散った水は操作されている水に吸収されるかのように引き付ける。

どうやら、レベルが上がり操作範囲上昇が付いているのであろう。


先ほど例に挙がった選手は涼香のお姉さんだ。

以前、一度会ったことはあるが涼香を凛々しく成長した可憐な美少女で、たわわがそれはもう大きい。

異闘の試合映像を見ると、めっちゃ揺れて男性客が盛り上がってるのは知っている。

お姉さんに合った時にデレデレしたときに涼香に足蹴られたことあった。

今では、中々会わしてくれない。

やはり、話題の選手だから稽古とかで忙しいのであろう。


『最後は、現象系です。 これは異能でも様々な捉え方されますが、ほかの系統とは発動条件が異なり異能保持者がいるだけで作用される異能だったりします。 例を挙げますと、異闘のチャンピオンクラスにいる災害(ディザスター)の異名をもつ天海選手の竜巻を起こすように無から発生するような感じですね』


現象系の異能は希少と呼ばれるくらい発現するのが珍しいと言われる系統だ。

この系統は、漫画やラノベでよく見るようなチート系とオレは解釈している。

異能がほぼ当たりしかなく、理不尽のような異能が多い。

ただし、弱点はある。

大抵の現象系はレベルが低いと、規模が小さかったり低火力だったりして異闘では不向きなこともある。

その例が身近にいる涼香だ。

今の彼女は、安物の水鉄砲くらいの噴出くらいと言っていたので現象系の最初は皆そんな感じで出力や効果が弱いのであろう。


『皆さんは今回の診断で理想と懸け離れた異能を取得して方もいるでしょう。 ですが、チャンスがあります。それを今から説明していきます』


今の言葉はオレに刺さる。

何だよ触手操作って、涼香みたいに現象系が発言して、最初は困難なものの最終的にはチートみたいな主人公ムーブがしたかったよ……。

物質操作は使い方によっては化けるかもしれないが、せめて見栄えが良いものにしてよ。



『異能力者にはレベルというステージがある。 今日発現した皆さんは全員レベル1だ。 異能と共に心身を鍛えると新たなステージに行ける。 そうすると、現在の異能がまたはが発現します。 今は自分の異能を受け入れることが大事です』


異能レベルは最大で10ある。

レベルが1上がるごとにより、現状の異能の強化または、別の異能が与えられる。

そのいずれかになるには、運も絡むが大体はレベル上がったときの環境や境遇によって決まる。

例えば、物質操作の異能保持者が異能よりも体を鍛えていた方が多ければ、次のレベル上昇時に身体変化系の異能が身に着くことが多い。

確定ではないのが、運が絡むということだ。


異能レベルに差があると、大きく不利が生じるため異闘ではクラスごとに試合をするのだが、同クラスだとレベルごとでマッチしやすい。

ただし、チャンピオンクラスは異能レベルが10のみで構成されている。

所属している選手はと呼ばれ、世界中で両手で数えるくらいしか所属していない。


折角異能がある世界に転生したんだ。

オレの目標はチャンピオンクラスになって、世界最強の頂になりたい。


『私はまだレベルが3ですが、新たな異能を得て人生ががらりと変わったので、どうか皆さまも諦めないでください。 以上です』


女性が話終えると、体育館中に響くほどの拍手喝采される。

勿論、最後の言葉にあったハズレ異能を持ったものに希望を与える行為はオレも心に響いた。


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