第3話

 いつものように。

 夜。ネオンと空を交互に眺めている。心は動かない。


 心が、戻ってきたらしい。らしいというだけで、何も変わったことはなかった。


 そして。彼がしんだらしい。ニュースでやってた。

 この街に、彼がいたかもしれない。そんなことを、ちょっとだけ考える。そして、結局。何も思い浮かばない。

 彼が追いかけた形のないものを。わたしも追いかけてみようか。なんとなく、そんなことを思ってみる。彼を追いかける気に、なったかも。今更。


 本当に、今更だった。彼はもういないのに。


 夜。この景色にも、慣れてきた。そして。ちょっとだけ、綺麗だと思うようになった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る