雲
身ノ程知ラズ
雲
僕は雲を眺めるのが好きだ
入道雲はもちろんのこと、うろこ雲や飛行機雲、なんの変哲もないただの雲でも僕はずっと好きだった
きっかけが何かは分からない、ただ物心ついた頃からひたすら雲を眺め続けていた
暇さえあれば空に目をやり、その雄大な自然を目に焼き付ける
風が吹けばすぐ形が変わってしまう
その刹那性に取り憑かれたのかもしれない
その趣味は人には話せなかった
空を見ているとボーッとするなと叱られるからだ
雲の魅力を知ってもらえないのは悲しいが分からない人には分からないのだろうと割り切った
とある夏のある日、入道雲が徐々に大きくなるのをまじまじと見ていると、とてつもなく大きい音がした
鼓膜が破れたと思うほどの音、というよりかは衝撃が僕の元に届いた
何事かと思い軒先から外に出て空を見上げると異常なまでに速く大きくなっていく雲があった
やがてきのこのような形に広がっていくのを見たと同時に凄まじい熱風が襲ってくる
耐えきれない、身体が熱く皮膚が爛れていくのを感じる
薄れゆく意識の中、あの雲のことは好きになれないでいた
雲 身ノ程知ラズ @mizoken
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