マッチングアプリで知り合った男 2

山崎から受けとった依頼内容を確認しながら、自分のパソコンに活動開始日を打ち込んでいく。


澤村の所属する『デートクリエイト』は、恋愛業界の中では珍しくはない。


勇気を出して好きな人を誘った女の子、男の子が何をしたらいいのか分からないとデートプランを立てるのをお願いするのが、『デートクリエイト』だ。


ただし、澤村の会社では『デートクリエイト』と平行して、相手の素性を見極め、本当にその人が依頼人に合うのかを調べる探偵業もしている。


今回の依頼は『デートクリエイト』はおまけで、その探偵業の方がメインである。


「山崎さん、ちょっと出てきます」


「もう行けるの? さすが、優秀だねー」


山崎は澤村の外出時間だけを書き取ると、澤村に恋愛業界許可証を投げて渡した。


カード型になっているそれは、澤村が相手の素性を調べる上でなくてはならないものである。



「行ってらっしゃい」


「早く終わんないと先に帰りますからね」


「沢北はどの道帰れないから」


山崎はそう言って微笑むと、沢北が焦ったように手を動かし始めた。


「行ってきます」


入口付近にかけてあった茶色い鞄を肩にかけて部屋から出て行った。

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