第5話 女騎士団長のクセ強アピールのせいで「会議」出来ない

//SE がやがやと騒がしい会議の音


「魔物討伐遠征の会議にも参加してみてどうだ? 副団長殿」


「なに、君の努力は団員の誰もが認めるところだ。副団長への抜擢、反対する者はいない。そうだ、知っているか。一部では団長の厳しい指導を乗り越えた強者だと尊敬のまなざしで見られているらしいぞ」


「そういえば、昨日も私の部屋に来なかったな。全く、いつになったら来るのだ……こtっちは最強の装備で待ち構えているというのに……!」


「会議にちゃんと参加しろ? 君も聞いていただろう。もう大体は終わった。あとは、政治的な調整だ。私の部隊は君も知っての通り、名誉に興味などないからな。どの位置であれただ魔物を屠るのみだ」


「ただ……魔物の群れの中に、魔人らしき存在がいた、というのは少し気にかかるが……君はその、大丈夫なのか……?」


「そうか、なら、いい。ん? くくく……おい、君あっちを見てみろ」


「おーおー、君の元上司がこちらを睨んでいるぞ。……ん? なんてことはない。今、君を私が預かり、手取り足取り指導していると言ったらあんな風になってしまったのだ。くくく、嫉妬とは恐ろしいなあ」


「なに? この前、妹とのお出かけを疑った私もあんな風だった。そ、そんなことは……む、むぅ……いじわるめ……」


「それより……ちょっとキスの振りでもしてみるか……? あの女がどんな顔するか……よ、よし……だいじょうぶだ。真似事、真似事だ……ま、まあ、もしかしたら事故で多少唇が君の顔に当たるかもしれないが、それは事故だ、うん、よ、よし……え? 涙を流しながらどこかに行った? ち……もっと粘れ、軟弱な……え? 私もこの前泣い……な、泣いてない。涙は零れていないから泣いてないんだ……!」


「それより、どうだ。此度の戦で一番手柄をあげたものに褒美を出すと王は仰っていたが……もし、もしだ。私が一番の手柄をあげたら、その、そのだな……」


「あげないか……その、わ、私と結婚式を……」


「お、王国一の剣士と結婚出来るのだぞ……! しかも、金持ちで、顔は世間では良いと言われている女とだぞ。ドラゴンより強いぞ。強いんだぞ。それにドラゴンより君の事を想っているんだ。ど、どうだ? どうなんだ? ね、ねえ……ねえねえ」


「か、考えておくからちゃんと会議に参加しろ? ほ、ほんと? こほん……よかろう。今はその返事で納得しておいてやろう。分かってる。ちゃんと会議にも参加する。より多く手柄をあげる為に一番槍を任せてもらわねばならんからな」


「ふふふ、絶対に私が一番の戦績を挙げてみせる」


//SE 会議の音が激しくなる


「くくく、どうだ……我々が先陣を切ることになったぞ。全ては私の君への想いが成した奇跡だ。さあ、私の姿を目に焼き付けるといいぞ……!」


「いちばんすきっ……!」


//SE 遠ざかる足音

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