第9話 活動終了

 徘徊する医院長を倒して次の月曜日俺たちはお菓子やゲームを持ち込んで地下室の中で打ち上げをしていた、普段のメンツは全員揃っている。


「いや〜七瀬ちゃん達お疲れ様〜、『怪異ファイル9徘徊する医院長』はどうだった〜?」

「えぇ、やはりあの強さでは推定通りC級が妥当って感じでした。まぁ、海斗君もしっかり動いてくれたのでさほどの脅威ではなかったです。ですがあの霊力による麻痺毒は特筆すべき内容でしたね。」


「うんうん、まぁそこら辺は後でいつも通りファイルにして出してね、詳しく知りたいから」

「それに関しては海斗君にやって貰おうと思います」

「えっ!?その話聞いて無いですよ!」

「そりゃそうよ言ってなかったもの」

「そうだよ〜七瀬ちゃんはいきなりの無茶振りがあるからねぇ〜、慣れないとダメだよ〜」


「絢音?それはどう言う意味かしら?私の代わりに次の討伐で前線張る?」

「ひぇ〜!それだけは勘弁してください〜!一応張れなくは無いですけど死にたく無いです〜!」


「ははっ!冗談よ、冗談」

「冗談に聞こえないんですよ部長のはこの前の『おおまち様』の時も生意気を聞いた本郷先輩を「なんか言ったかしら?」ひえっ?!なんでも無いでしゅ」

 どうやら七瀬先輩は1番怒らせてはいけない人の様だ。


「それでファイルってあの前に見せてくれたやつですか?」

「そうそうそれよ、それ一度試しに書いてみて頂戴、来週までに出してくれれば良いから」

「はぁ、まぁ正直家帰っても勉強と趣味以外何もやってないし、趣味の範疇はんちゅうに入るんでやりますよ、でも今度今までのファイルのコピーください。家でじっくり読みたいんで」


「海斗君、持って帰って読むのは許可するけど流石にコピーはダメだよ、この部活は普通のオカルト部の活動を超えてるから」

「やっぱりおかしい活動してる自覚はあったんですね桜先輩、まぁ読めるなら良いです。

 勝手に持ち出しは不味いのかと思ってただけなんで。」

「それで書いてくれるなら問題無いかな?どうせ見られても無関係の人にはただの妄想としか思われないだろうし」

「それじゃあ今度持ってきますね、ファイルの方もしっかり書こうと思います。」

「んじゃお願いね、それと次の活動はどうしようか?」

 七瀬先輩がその場にいる全員に問いかける。


 すると本郷先輩から意外な話が出てきた。

「僕から良いかな?毎年ゴールデンウィークに佐倉村にある佐倉神社で行われている祭りで佐倉奉納祭ってのがあるらしいんだけど知ってる?」

「あぁ新じゃがが名産の佐倉村か、知ってますよ」

「私も知ってるよ〜」

「確かにあの祭りは有名だがそれがどうした?」

「いや、あの村ってさ幼児の失踪事件があるじゃん?」

「確かにあの村は女子小学生がよく失踪していて警察も動いているが、まるで証拠が無いそうだな」

「そうそうそれでねその失踪時期なんだけど、表面上は時期は関係ないんですけど実際に失踪したのは佐倉奉納祭の2日前から1ヶ月前に集中しているんですよ」

「一気にきな臭くなってきたわね」

「それで僕はを使える怪異、恐らく持ちがいると睨んでいます。」


「ちょっと待ってください、異界化と神格ってなんですか?」

「あぁそう言えば言ってなかったな落ち着いてから言おうとしてたんだが、俺が説明しよう。」

「お願いします」


「まず、前回の突入した時にメスや注射器が錆びていなかった様だな?」

「はい、ですがそれがどうしたんですか?」

「おかしいんだよ、本来放置されて年数が経っているのにいくらメッキされていたとしても錆びてないのは」

「言われてみればそうですね、なんでなんですか?」

「そこで関係してくるのがだ、霊力には物質を変化させない様にする力を持っている。だからメスは錆びていなかった。 そしてこの霊力の量が多いと、その土地の記憶を霊力に刻み込み好きな空間でその空間を捻じ曲げて、刻み込んだ土地に書き換える事ができる様になる。 これを異界化と呼ぶ、主にA級から使ってくる技で大抵奴らに有利な領域だな。んで神格は、信仰され消滅させにくくなった怪異に対する総称で俺達にとって良い様にしてくれる怪異もいるが、一部ろくでもない怪異がいる。これを通称邪神と呼ぶ」

「成程つまり今回の敵はA級以上で倒し辛いと言う認識で良いですか?」


「さらに言うなら一部の村人も敵の可能性があるくらいかな?まぁ良いわ次のターゲットはそいつね!じゃあゴールデンウィークまでに情報を集めといてね、それじゃあ解散!」

 俺達はそうして家に帰っていった。


(あれ?全然打ち上げっぽくない?まぁ良いか)

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