第8話 オカルト部の本領

「ッギヤァ!?!」

 奴の絶叫が病院内に響き渡る。


「っ?!本当に効果あるんだ…」

「疑ってたの?もちろん本物よ、さぁ畳み掛けましょう!」

 2人で距離を詰めにかかるが奴から飛んできた2つの何かを回避する為に一度止まってしまう。


「注射器?ですよねこれ、なんでまだ液体が入ってるんだ?」

「どうやら霊力で精製した麻痺毒みたいね、その証拠にほら、私に向かって飛んできた注射器が偶然ネズミに刺さってるけどネズミが痙攣してるし、何より麻痺させてから運んでたって考えると筋が通る所も多いからね」

 この僅かな情報でそこまで考えるとは本当に凄い人だ。


「ほらさっさと追うよ!」

 先輩に言われて廊下の先に逃げてしまった奴を慌てて追いかける。


「逃げんなよ!」

 俺は銃タイプを撃ちながら奴との距離を詰める。


 奴は廊下の先にある階段を降りた。

「へ?上に行くんじゃ無いの?」

「元々実験室は地下にあったらしいから何か罠でも用意するつもりなのかしら?本郷君と松本ちゃんと合流して実験室に向かうわよ」

 俺たちは一階にて2人と合流する。


「対象は下に逃げたけどそっちが見てないなら地下の実験室がやはり妥当かしら?」

「私も〜そう思うんだけど〜なんで実験室なんだろ〜?」

「恐らくですけど部長達が当たりかけた麻痺毒を撃ち込むための注射器が大量にある、とかですかね?」

「個人的には本郷先輩の意見が1番近いと思います。」

「それじゃあ推定麻痺毒の注射器に注意して降りるわよ」

 そうして俺たちは地下の実験室へと降りていく。


「光が漏れてますね」

「なんでまだ電気が通ってるのか?とかは気にしたらアウトですか?」

「それくらいは直ぐに慣れるわよ、それよりもやっぱりここでビンゴのようね」

 直前まで隠密で近づいて扉の目前まできた瞬間本郷先輩が扉を蹴り開けた!


「本郷先輩だけはまとも枠だと思ってたのに…」

「ははっ僕はこれでもまともよりだよ?うちの部に入ったら遅かれ早かれこうなるよ、それよりもやっぱり当たりみたいだね」

 部屋には医院長の姿と周囲に浮かぶ大量の注射器やメス、ナタなどの姿だった。


「まぁいつもの事ね行くわよ」

「こんなポルターガイストが日常なんすね、まぁ良いけど」

「海斗君は刀タイプを使ってね、後ろ2人は銃タイプのが得意だから」

「了解」

 俺はライト◯ーバーもどきの刃を展開する。


 飛んでくるメスを右に右にとよけホーミングしてきたら前に出て避ける。

「ギャァァァ!」

 先輩達の攻撃で奴が再びの絶叫を迎える。


「俺も負けてられないな」

 それに負けじと俺自身も胴を薙いでから頭に突き刺しそのまま縦に切り裂いた。


「海斗君ナイス!決めにかかるよ!」

 七瀬先輩からお褒めの言葉をもらう。


 回避への慣れもあってより一層攻撃を苛烈にしていく、15分ぐらいたっただろうか「ギャァァァ」遂に奴が悲鳴をあげて消滅していった。


「やった…」

「これで徘徊する医院長の討伐完了ね!あとは他のがいないかだけ確認して帰りましょう」

「「「はい!」」」

 こうして俺のオカルト部での初活動は終わりを迎えるのであった。

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