第6話 資質

 七瀬先輩を追いかけて行くと、七瀬先輩が装備保管庫の前で止まった。


「それでなんのようですか先輩?」

「まぁ主な内容は2個あるわ、まず明日の突入に向けて貴方に装備を渡さないといけないから、銃タイプか刀タイプならどっちが良い?」

 渡されたそれは子供が持ってそうなおもちゃのピストルと、ライト◯ーバーの持ち手の様な物だった。


「後これ明日は着てきてね?」と謎の機械付きのベルトを渡される。

「詳しい説明は、隣の模擬戦場でね?」

 と言われ俺は先輩と模擬戦場に移動する。

「それじゃあまずはこのベルトからね!このベルトは普通に装着してから横にあるこの機械のボタンを押してね」

 先輩がボタンを押すと同時にその体が黒色のスーツに包まれる。


「と、まぁこの様に身体補正に加え物理的にも霊的にも保護されるハイテクスーツを着れるの!」

「なんでオカルト部は数世紀先の技術を使ってるのかねぇ?」

「まぁできた物はできたから」

 と言う会話をしながら俺もスーツに身を包む


「着る時のボタンをもう一度押したら消せるよ!後隣の色付きボタンを押せばスーツの色を変えれるよ〜」

 と言われ俺は青色のボタンを押す、すると確かにスーツの色が変わったのだが…


「なんで若干表面が揺らいでるんですかこれ?」

「まぁ元々の運用が隠密用だしね、大体全部そんな感じよ?」

 俺はもういちいち突っ込むまいと色を無言で黒に戻した。


「んで次がこれ!ピストルの方はスイッチを入れて撃つとエネルギー弾が射出されるの!とは言っても人体当たっても数日寝込むだけの完全オカルト用ね!んでこっちの刀タイプはエネルギーの刃を作れるの!こっちの方が射程は短いけど、威力は上なんだ!だから資質に合わせてどっちを優先するかを決めるの!敵の性質によってはどっちも使ってもらうんだけどね!」


 俺は渡されたピストルのスイッチをONに入れると、模擬戦場の壁に表示されたターゲットに対して撃つ、レーザーサイトが付いている事からエイムがつけやすくそこまで狙うまでも無く10枚のターゲットを撃ち抜く。


「反動も無いしゲーム感覚で撃てますねこれ」

 と俺が素直な感想を述べると先輩からはただ一言

「初めてなのに慣れるの早っ」

 だけだった。


「まぁまぁ次は刀タイプを使ってもらうね、ターゲットカモン!」

 と言って出てきたのは先程の的タイプと違ってマネキンの様なターゲットだった。


「それじゃあこれを斬ってみて、こいつらも動くからダメージは無いけど当たったらアウトだよ」

 と言われたので当たらない様にしながら流れるように3連撃、次いで来た奴には首を薙ぎ、最後に襲ってきた奴には振りかぶってきた腕を避けてから一閃して倒した。


「これで良いですか?先輩」

 しかし先輩の反応が無い

「なんか不味かったですかね?」

 俺は恐る恐る声をかけるが先輩の反応は予想外だった。


「海斗君凄い!」

「えっ?」

「いや本当に凄いよ海斗君!まさか初めてであんなに使いこなすなんで!私や坂田君も無理だったのに!」

「取り敢えず問題は無いですか?」

「あるわけ無い!明日の実戦次第だけど戦闘におけるエース級になる可能性もあるわ!」

「もしかしてですけど確かめたい事ってこれの事でしたか?」


「そうそう!戦闘が出来るかどうかで立ち回りも変わるし、出来ないなら出来ないで自衛ぐらいはして貰わないといけないからね!」

「成程、言いたい事はわかりました」

「うん!それじゃあ君には取り敢えずどっちも使ってもらうとして、今日の内容はこれで終わりだから帰ろっか!」

「えぇ、それじゃあ部室に」

「いや、もう時間が最終下校時刻だからこっちから抜けるよ」

「えっもうそんなに時間経ってたんですか!?」

「そうだから急ぐよ!こっちの道が外で借りてる一軒家に繋がってるから!」

「相変わらず部活の範疇超えてんな!」

 ツッコミながらも俺と先輩は帰路に着くのであった。

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