第2話 ハンター協会

 俺は『魔遺物』をハンター協会に向かっていたのだが———その道中で美人が居たので早速ナンパしていた。


「———ねぇねぇ俺と遊ばない? 俺、赤司彰人って言うんだけど……」

「ご、ごめんなさい……私、これから友達と予定が……」

「大丈夫だって〜絶対に手を出さないし、楽しませてあげるからさぁ〜!」

「え、えっと……本当ですか……?」


 よしこれは成功するぞ!

 あとはトドメの口説き文句を———


「———こんな所で何をしているの?」


 俺が正気を見出していた時———俺の後ろから、綺麗で透き通っているが、非常に冷たい声色の持ち主が、寒気のする様なオーラを纏って話し掛けてきた。

 その雰囲気に俺はとても覚えがあった。


 俺は、固い笑みを浮かべながら後ろを振り向く。

 そこには———太陽の光で光り輝く美しい銀髪と銀色の瞳に、女性の誰もが羨む様なプロポーションの持ち主である超絶美人が立っており、俺に底冷えする様なジト目を向けていた。


 ———東堂麗華とうどうれいか

 俺の裏の顔を知っている3人の内の1人で、2年前くらいにモンスターに囲まれてたのを助けたのだが……何故かバレてた。

 それに、借りを返したいタチらしく、気付けば日本に4人しかいないSS級ハンターになっていて、俺に迫る勢いである。

 

「あ、あはは……こんちゃす、麗華……」

「こんにちは彰人。何度も言うけれど、いい加減ナンパは辞めた方がいいわよ。貴女も———早くお友達の所に行けば?」

「は、はひっ! そ、それでは失礼しますっ!」

「あぁあああ———ッ! ちょっと待ってくれよぉ〜〜〜!!」


 俺がナンパしていた美人は、頭2つ以上飛び抜けた超絶美人の麗華に、恐れる様に顔を真っ青にしながら逃げていった。

 久方ぶりに成功しそうだったナンパを失敗に導いた麗華に俺は憤慨する。


「ちょっと麗華! どうして邪魔するんだよ! 折角あともう少しで成功しそうだったのに!」

「だったのに、じゃないわよ。そもそもSSS級ハンターであるアンタが何故ナンパなんてするの? そ、それに……こ、こんなに近くにアンタを……ごにょごにょ……」

「……何言ってんだ? ごめん、途中から全く聞こえねぇわ」

 

 途中から急に麗華の声に力が無くなり、聞こえなくなると同時に、心なしか顔が赤くなっている様な気がする。

 俺は何を言っているのか分からず、首を傾げると、麗華はムッと眉を寄せた後、諦めた様にため息を吐いた。


「はぁ……アンタって……そんなんだからナンパも成功せず恋人も出来ないのよ」

「ひっどい言われよう。俺のガラスのメンタルが粉々に砕けるぞ。と言うか既にボロボロなんだが?」

「なら大丈夫ね。アンタのメンタルはオリハルコン以上でしょう?」


 彼女の中での俺は一体どうなっているのだろうか?


 非常に問い正したい所だが、グッと我慢して麗華に聞いてみる。


「そう言えば協会長いる? 『魔遺物』を渡したいんだけど」

「いるわよ。私も協会長に用があるし、一緒に行きましょう?」

「『行きましょう?』じゃなくて『付いて来いだよね』だよね、それ。だって逃げれない様に思いっ切り腕掴んでんじゃん」

「何のことかしらね?」


 俺の腕を掴んで堂々と歩く麗華に連れられて、俺は高層ビルの最上階に移動する。

 1階と最上階の間にはトレーニングルームやハンター専用のホテル、新大陸で見つけた『聖遺物』と『魔遺物』も置いてあるのだ。


 正にハンターのみの為に作られた施設と言っても過言ではないだろう。

 まぁ俺は一度も使ったことないけど。


 そんな凄い所を、俺と麗華はエレベーターでスルーしながら先に進む。

 数秒で最上階に到着すると、麗華が俺に釘を刺す。


「アンタ、今度こそ喧嘩しないでよ」

「麗華ちゃん……相手がちゃんとしてたら俺は怒らないんだよ」

「……協会長にそれを求めるのは無駄よ」

「じゃあ喧嘩しかないな。俺は世界で唯一、あの女だけは女と見ないと決めているというか見れないんだ」


 因みに美女で強いと有名な協会長は、俺を面倒なハンターにした張本人で、ナンパ師の俺すらも認める生粋の屑である。

 仕事はしないし、戦いもしないくせに無駄に外面よくて、彼女に惑わされた男は数知れず。

 更に俺の弱みまだ握られているので、奴だけはどんな女の子も嫌いにならない俺が、この世で唯一嫌いな女だ。


 俺はバンッと扉を開いて———中の様子を見てキレ気味に叫んだ。


「おうおう俺を呼んでおいて自分はス◯ブラとはいい身分じゃねぇかコラ。と言うか仕事を秘書の悠真くんにやらせるな! 悠真くんが過重労働で辞めたらどうしてくれんだ!」

「相変わらず五月蝿いな。もう少し静かにしてくれ。美女の頼みが聞けないのか?」

「五月蝿ぇ屑のくそババア!」

「なっ!? き、貴様! もう1度言ってみろ! その舐めた口塞いでくれるわ!」

「何度でも言ってやるわこのくそババ———いだっ!?」

「はっ! ざまぁな———いだぁっ!?」


 俺は麗華に、協会長は秘書で超絶正統派イケメンの悠真くんにぶん殴られた。

 俺は頭を押さえながら麗華を涙目で睨む。


「れ、麗華ちゃん! 何で俺をぶったの!? 今回は悪いの全部あのくそババアじゃん! それにSS級ハンターの麗華ちゃんに

殴られたらドチャクソ痛……まぁそれはそれでご褒美だけどね」

「……きもっ」

「がは………っ!!」


 俺は麗華の鋭い言葉の刃に貫かれた。


 余談だがその後、俺は麗華、協会長は悠真くんにこってりと怒られました。

 

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