第14話 クラブ員自己紹介①
「そんじゃあ、今度はクラブ員紹介だな。
まずは、南条 ななみ から。
尚、ななみには、キャプテンをやってもらう。もう本人には承諾も、もらっているから。
本人から自己紹介をする前に、みなさん、お待たせしました。クラブ活動内での、愛称の発表です!」
「えーーーー」
「えーーーーじゃない!監督権限。問答無用、紆余曲折、栄枯盛衰じゃー」
「大人ってやだね。難しい言葉使って、なんかごまかそうとしてる」
「あーやだ。やだ」
「フッ、博識さが出てしまった。すまん。紆余曲折とは・・・」
「早く、先に進みましょうよ」と、瞳コーチ
「はい。すみません」
「では、キャプテンの愛称は・・・・・
【ナナミー】です」
なんじょう ななみ で【な】が、3つもあるからね。だから、ナナミー
あ、ひらがな じゃないよ。カタカナで、ナナミーだから。
「なぁ~んだ。普通じゃん」と綾小路 レイナが言う。
「なぁ~んだ。って何よ。普通じゃ面白くないみたいじゃん。」とナナミー。
「人の名前を呼ぶのに、ひらがな とか カタカナ って関係あるんですか?」と、須藤 あかり子が聞く。
「大人の事情だ。以上」
「もう。先、進もうよ」
「はい。ナナミーどうぞ」
「ナナミーです。キャプテンをする事になりました。よろしくお願いします。
ポジションは、後衛です。ソフトテニスは、5歳の時から始めました。お母さんがコーチをしてくれていて、お母さんの期待に応えたくて、頑張ってたんだけど、テニス推薦が受けられなくて。それで、やけになっちゃったというか、素質無いから、もうテニスやめようって思っちゃって、自転車通学が出来る、多岐商へ入学しました。
もうテニスはしないつもりだったのに、テニス部復活の事を知った瞬間、『やったぁー』て思っちゃった。
いつも、多美中学に負けてて、たいした成績はありません。もう十分負け続けたから、今度は、勝ち続ける番だと思っています。
本当に、ここに入学して良かったと、今は思ってます。
こんなすごいコーチの方々に教えてもらえるなんて、夢みたい。
キャプテンとして力不足かもしれないけど、頑張るから、みんなも、コーチにどんどん、しごいてもらって、全員で強くなろう!」
「はい!」 クラブ員全員が、元気に答える。
「素晴らしい言葉があったね。『もう十分負け続けたから、今度は、勝ち続ける番だ』って。キャプテンとして大変だけど、頑張って行こう。
俺も、監督として力不足だけど、頑張るから」
「あーすねてる。すねてる。さっき『すごいコーチの方々』っていうとこで、『すごい監督や』って言われなかったもんだから」と、穂乃香コーチが鋭く突っ込みを入れた。
「ちゃうわい!」・・・(図星であった)
<あの安定したフォームは、母親がコーチングしてくていた結果か。この世代は、中学生の当たり年で多美中学校や、瑞波中学校、中都中学校などに素晴らしい選手が、多数いて、普通なら、テニス推薦を受けられていただろうからな。まあ、多岐商にとっては、ラッキーだったが。やはり、中心になってくれる子がいないと、チームがまとまらないから。大切に育てていこう>
「では、次に、副キャプテンの、阿部 千賀子 ですが、【あべち】とか【あべべ】です。『あべ ちかこ』だから、アベチ ね。北斗珍拳の、「あべち」とか「ひでぶ」とかは、関係ないから」
「監督、質問」
「はい、何んでしょか」
「『とか』って何ですか?あと、『北斗珍拳』がわかりません。」と、江藤 樹里。
「いい質問だね」・・・(どこが!)
「『とか』は、どっちにしようか迷ったから。第一候補が『あべち』で、試合でポカをやったら、『あべべ』・・・(あれれぇ~)の代わり。
『北斗珍拳』につては、後でスマホで、調べといてくれ。・・・以上」
「社長さんって、大変なんですね。いろいろな事を考えなくてはいけないから」
と、澪コーチが、作り笑顔で言う。
「そうなんだよ。大変なんだよ」・・・(皮肉を言われたのが、全然わかっていない葉山)
「『あべち』は、ジュニアの時も言われてたからOKです。183cmあります。両親も大きいので、遺伝だと思います。牛乳も良く飲んでるし」
「どんくらい?」と葉山が、また余分な事を聞く。
「毎日、牛、一頭分」
これが、コーチ陣に大うけ。
<やるじゃん、この子。こういう切り返しが出来るって事は、頭いいんだ>
(事実、あべちは、今回の入試では、学年2位の好成績で、進学特進科の生徒である。通常、クラブ活動には参加しないのだが、両親と特進科の先生に、直訴して、
『学業もテニスも、両方頑張るから』と約束して、このクラブに入ってきた。
こういう諸葛孔明 的な、頭のいい子がいてくれると、チームとしても、とても助かる)
「私も、ジュニア時代から、両親にテニスを教えてもらってました。でも中学2年生の12月のお昼休みに、友達とバスケで遊んでて、そん時に手を痛めちゃって。
ゆっくり休めばよかったんだけど、このくらい大丈夫って思って、テニスの練習してたら、腕全体が、炎症を起こして、テニスが出来なくなっちゃった。それで、中学3年の1年間は、全くテニスが出来なくて、当然、試合にも出れず、ななみとは理由が違うけれど、私もテニスを諦めて、ここへ入学しました。
腕の方は、すっかり治って、今は何ともないです」
<中学テニスで挫折した者の墓場か? 多岐商は>
「ポジションは前衛です」
<でしょうね>
「私も、自慢できる成績はありません。でも、なんかワクワクしています。
監督を始め、コーチの方もすごいし」
<やっぱり、頭がいい子だね。話の流れを、きちんと把握している>
「私よりも大きい子がいたりして、びっくりだけど、他のみんなも大きいから、絶対に他校より平均身長が高いと思うの。体が大きいのは、なんにしても有利。
私たちには、失うものが無いから、あとは這い上がって行くだけ。ひとつ、ひとつ、階段を上って行くように、あせらず、あわてず、3年間を掛けて、強くなっていけばいいと思ってます。
副キャプテンとして、頑張っていきますので、よろしくお願いします」
「お願いします!」と全員。
「『失うものが無い者』の強さを見せつけてやろう。ただし、あせらず、あわてずではなく、最初から、追い込んでいくから、覚悟しとけよ!」
「はい!」・・・おお! 気持ちのいい、元気な返事
「あっ、それと、ナナミーと、あべちは、ペアを組ませるから。他のメンバーは、まだ未定です。コーチ陣に、もう少し練習を見てもらい、1か月後くらいかな、それからペアを決めます。尚、ペアの変更は、年度途中の変更は行わないつもりだけれど、そこら辺も、コーチと話し合いながら決めていきます」
「はい。お願いします」
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