第13話 コーチ陣自己紹介⑥
「では、クラブ員の自己紹介に入るか」
「待ってください、監督。休憩は取らなくていいんですか?」
「休憩必要か?」
「みんなの話を聞いてて、例えて言えば、お腹が一杯と言うか、頭痛がすると言うか、また10分ば休憩が欲しかとです」
「あれっ 穂乃香コーチは、九州出身?」
「試合で、3回ほど行った事があります」
「みんな、ごめん。無駄な時間を費やしてしまった。気力がなえたので、しゃーない、10分休憩」
「ありがとうございました」
例のごとく、コーチ陣と、クラブ員が分かれて、休憩を取り始めた。葉山は、またちょっと距離を取って、男子の練習を見ているふりをして、聞き耳を立てている。
「ねえ、本当に葉山監督って、光子力何とかの社長さん?」
「こういう時はこれよ。」と言って、美弥コーチが、スマホを取り出す。
「えーと、光子力総合研究所っと。はい検索。エイ!」
いっぱい、検索結果が示され、社長の顔写真も検索出来た。
「えーーーー、似てるような、別人のような」
「別人じゃない?」
「でも、顔は似てるような気が」
「こういう時はこれよ」またまた、美弥コーチ。
「フェイス加工アプリー」と、ドラーエモン風に言う(似てなかったけど)
「何それ?」
「顔とかが、いろいろと変えられるの」と言って
「葉山監督ぅ~、ちょっとこっち向いてくれませんか?」
「何?」と言いながら、葉山が、美弥コーチの方を見た瞬間
カシャ、カシャ・・・写真を2枚撮られた。
「あーまた変な事しようとしているな」
「またじゃないです。初めてですぅ」
「今撮った写真を、アプリで加工していくね」
「うん、うん」
「まずは・・髭を削除・・・・ エイ!」
「おおっ、髭、無い方がいいじゃん」
「次に、このモジャモジャ鳥の巣ヘアーを、アップバングヘアーへ変更・・・エイ!」
「オーマイガー」
「更に、眼鏡を削除っと。・・・エイ!」
「・・・・・・」
「おい!、何か言えよー」聞き耳じじぃこと、葉山が割って入ってきた。
「で、ついでに、変態Tシャツを、ダーベンのスーツに変更・・・いってもうたれぇー エイ!」
「・・・・・・・・・」
「お願い、何か言って。悪口でも何でもいいから。」葉山が、懇願する。
葉山を無視して・・・
「今の男の子は、背も高くて、カッコいい子ばかりね」と澪コーチが人愛コーチに言った。
その途端、近くで、騒いでいたクラブ員が、全員、口をつぐみ、聞き耳を立てる。
「みんな、年下よ。・・・あら、ひょっとして、もう目ぼしい当たりをつけた訳?」
「まだ、そこまではないけど、かっこいいじゃない、みんな」
「確かに。でも会社には、もっといい男が、わんさかいるから」
「いるから、男子高校生には興味がないと」
「ない事はないけど、私は年下はパス。譲るわ、高校生を。・・・1つ大きな貸しね」
<色気では澪コーチに勝てないけど、こっちは、なんたって花の女子高生。お肌だってピッチピチだしぃ~>
恋の炎が、メラメラと燃え上がる。
<おいおい、恋のバトルもいいけど、テニスの方を頑張ってくれよな。テニスを>
みんな、思っている事が顔に出るタイプばかり。非常にわかりやすい。
<それよりも、俺の方はどうなった? 誰か、褒めるとか、いじるとか、どっちでもいいから、何か言ってよぉーーー 美魔女のみなさん、お願いしますから~>
一方、JKの方は・・・・・
「なんか、すごいコーチばかりだね」
「すごすぎて、よくわかんない」
「確かに」と、大木 ルミ
「でも、なんかいろいろ教えてもらえそうじゃない?私、パソコンを覚えたい。」
「私は料理かな。将来、有名旅館のおかみをめざ目指してまーす」
「そんな事よりも、葉山監督って、訳わかんない」
「確かに」と、大木 ルミ
「ひょっとして、ものすごい立派な人なのか、逆に、ものすごい変態なのか」
「アニメ柄のシャツだよ。普通じゃないよ。絶対」
「でも、社長さんだよ」
「確かに」と、大木 ルミ
「社長ってさぁ、変んな人しか、なれないんじゃない。」
「言えてるかも」
「越前がに」と、大木 ルミ
<全国の社長さん、ごめんなさい>
と、この時、男子のコーチがどうのこうのという話が聞こえてきた。
噂では、独身で、そうとうなイケメンという事前情報が、流れていたのである。
(ちなみに、情報流出元は、現在調査中!)
しばらく、聞き耳を立てていたら・・・
「あー、男子コーチの事、もっと知りたい」と、加藤 しおり が叫んだ。
「教えてやろうか」降って湧いたように、葉山が背後から忍び寄る。
<なんか、悪意のある言い方やんけ>
「けっこうです。なんか見返りを要求されそうなので」と南条 ななみが、キッパリと断った。
「ほうほう、立派、立派。この短期間に、私の事がわかってきたようだな」
「いばって、言う事じゃないと思いますけど」
「それより、社長さんなのに、よくここへこられる暇がありますねぇ」
「それなんだよね」と葉山
「自分でも、よくわからないんだけど、社長業やら研究で、1秒でも余分に欲しいのに、なぜだか、監督を申し込んでしまった」
「長くなるけど、ちょっと聞いてくれる?」
「見返りは?」
・・・・・・
「お食事処
「その話、乗ります」と、阿部 千賀子が答える。
(結局、コーチ陣に加え、クラブ員も、【雅】で、ご馳走になる事となってしまった)・・・ほんと、この男、乗りやすい というか、乗せられやすい!
「みんな集合!」
「もう集まっとるがに」 速攻、加藤しおりが突っ込みを入れる。
「4月のいつだったか、お昼休憩に、ちょっと窓の外を覗いた訳よ」
「女子更衣室の間違いじゃないですか」
「窓の外!」
「でな、そうしたら、ここが見えたわけ。今、多岐商はどんな感じかなって、不意に思って。でもって、手元にあったパソコンで、ここのホームページを、見たわけよ」
「それで?」
「そうしたら、テニス部を立ち上げたので、コーチ募集中!の記事が出てた。
それを見たら、なぜだか、いてもたってもいられなくなって、気が付いたら、学校へ電話してた。」
「会社の人、何か、言いてなかった? 部長さんとかが」
「まだ、何んも言ってない」
「あれま」
「ま、なんとかなるでしょ、会社の人は、みんな優秀だから」
「ここと一緒ですね」
「何が?」
「コーチは優秀だから」
「喧嘩売っとんのか? は ではなく コーチ も だろ」
「コーチも、顧問の先生も」
「そうきたか。・・・男子コーチも、お食事会呼ぼうかな。どうしようかなぁ~」
「あーん コーチぃ。 このクラブは、監督あってのクラブですぅ~
ふつつかものですが、よろしくお願いしますぅ」
「よく、不束者なんていう言葉を知ってたな」
「えへっ」
「監督、もう10分経ちますよ」と瞳コーチ
「じゃあ、元の位置に集合!」
「はい!」
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