第12話 コーチ陣自己紹介⑤

「相澤 みおと申します。よろしゅうお頼み申します。

わては、京都の嵯峨野で生まれ、小学校2年の時、こちらへ来ましたよって、どうしても、はんなりさが、出てしまいますぅ~」


「ギャハハァー。何が、はんなりやねん! あんた、多岐市の保育園から、ずっと私と一緒やったがねぇー」と陣内コーチが大笑い。


「あんたねぇーなんでバラすのよぉー」

「そんなもん、すぐバレルわ!」


「じゃあ、改めて。相澤 澪  OLしてます。よろしく」

「よろしくお願いします」


「ねえねえ、OLって何?」と小声で、加藤玲子が、隣の土屋レミに聞いた。

「オールド・レディーじゃない?」


「もしもし、君たち、君たちよー。OLとは、オフィス・レディーの事あるね

オールド・レディーは、私の左側にいる方々の事あるね」


「みおちゃーん、あんたも24歳だから、この子たちから見ればオールドだってば」

と、美弥コーチが言う。

(後でわかった事だが、澪は、美弥の弟子らしい。何んのかというと、グラフィックデザインの。要は普段から、仲はいいみたい)


「独身だから、まだ、左側の皆さんとは大きな隔たりがあろうかと・・・」


独身と聞いて、軽部 理子と江藤 樹里の目つきが変わった。

 突然のライバル出現!しかもかなり強力なライバルが。

澪コーチは、茶髪が似合う、今どきのイケイケガール(表現が古い)といった感じ。

大人の魅力も兼ね備えた雰囲気のある美人である。しかし負ける訳にはいかない。

男子クラブ員の中の、イケメン男子を奪われてなるものですか。


「それでね、横にいる、陣内コーチとは、腐れ縁というか、腐ってるというか、保育園から、ずーと一緒、今も、ペア組んでる。

成績は、インカレ・チャンピオン。あとアジア選手権準優勝。韓国チームに負けちゃったのが、今でもくやしい。いつかリベンジと思って、テニスを続けてます。

ちなみに、韓流ドラマにはまりまくってて、早く彼氏を作って、一緒に韓流ドラマを見るのが夢です。・・・なんてね」


<おぉ!何という闘志あふれた、いい目をしているんだ。その闘志をテニスに向けてくれ> 軽部と江藤を見ながら、葉山は笑いをこらえていた。


「んじゃぁ、次は、クラブ員の紹介だな」


「なんでよー!、私、私がまだなのに!」と陣内コーチ

「だって、今、澪コーチが、の事も紹介したじゃん」


<ん? お前? 二人は尻合いか? もとい、 知り合いか?>

感の鋭い、複数名のコーチが、何か怪しい と思い始めた。


「そんじゃぁ、手短にな」


「1時間くらい、しゃべってやる」

「みなさん、こんにちわ、京都生まれ(これは本当)の天才児、陣内 人愛です

ひとのあい と書いて とあ です。よろしゅうお頼み申します。

私も、OLしてます。澪に何かと付き合わされて、私も独身。

会社は、(ほれ、あそこ。 と言って、北側の山の中腹を指さす。)

光子力総合研究所っていう会社で働いてます。


「会社の社長さんが、どうしても、ここのコーチをやてくれと、言うもんだから、デートの時間を削って、ここへ来る事になりました」


「何がデートよ、デザートの間違いじゃない?彼氏もいないのに」と澪コーチ


「おうおう、それにな、俺がいつ、お前に来てくれと頼んだ?」


・・・・・・「えっ?」・・・・・・


「もう、自分で、『当分の間は、社長である事を内緒にしていおいてくれ』て言っておきながら、全部自分でバラシてんじゃん。」と瞳コーチ。


「えーーーーーーーーー」


「つまり、葉山監督は、あそこに見える会社の社長さんで、その会社に、人愛コーチが働いているって事だよねぇ~」

「で、何らかの理由で、それを隠そうとしていた。 ちゅう事ですよね?

か・ん・と・く」と、穂乃香コーチが鋭く突っ込む。


「別に隠すつもりは、なかったのだが・・・」

「でしょね」と冷ややかに天音コーチが言う。


「それにしても、あんなりっぱな会社の社長さんには、絶対に見えないけど」と真子コーチ


<ほっとけ、これでも会社では、シャンとしとるんじゃ!>


「瞳コーチ、何かの詐欺に引っかかっていませんか」と美弥コーチも、面白がって、チャチャを入れる。

「瞳コーチが、へんな催眠術を葉山監督に掛けられて、騙されて、ここに連れてくるように、仕向けられたとか」と、真由香コーチ


「はいはい、私がわりゅうー(悪い)ございました。

なんかぇねえ~、社長というのを、前面に出したくなかったんだ。人愛コーチとも、ここでは、上司と社員じゃなくて、監督とコーチだし。

社長という肩書は不要というか、無い方がいいと思ったから。」


「なんか、わかった様な、わからん様な説明」と天音コーチ


「まっ、私たちには、あんまり関係の無い事だから、この辺で、勘弁してあげますか。後も詰まっている事だし」と、瞳コーチが助け船を出してくれた。

<ああ、神様、仏様、瞳様>


 <別に、助け舟を出したつもりは無い。ただ、この、くだらない会話から一刻も早く抜け出し、先に進みたかったから> (瞳コーチ)

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