第11話 コーチ陣自己紹介④

「次は誰だっけ?」

「真子でーす」

「はい、二宮 真子です。よろしくね」

「お願いします」

「こう見えても、看護師やってました。俗にいう、『美しすぎる看護師』っていうやつね。実は今も、お手伝い程度には、看護師やってますけど。メインは、お家でダンス動画とかをインスタグラムやTikTokに投稿して、稼いでます。フォロアー100万人越えのインスタグラマー。自分でも驚きぃ」


<慣れとは恐ろしいもの。もう何が飛び出してきても驚かなくなってきた。

何を言われても、違和感を感じなくなってきてしまった>


「ない方がいいけど、もし怪我とかしちゃったら、すぐに私の所に来てね。救急セットは常に用意しておくから。あと、そうだ、主な成績ね。

 インターハイは、初戦敗退だったけど、その分、日本体育大学で頑張った。

インカレ個人・団体優勝で、全日本代表として、世界大会も優勝しちゃった。」

「すごーい」

「瞳コーチ、穂乃香コーチ、真由香コーチ、天音コーチも、全日本代表メンバーだったよ」と、真子コーチが言う。


「あっ、それ言うの忘れてたわ」

「年のせいだな」と葉山。

<ハイキックからのニードロップ。そして必殺ブレーンバスターが炸裂して、葉山がリングにめり込む。その一言が死を招く! 恐るべし、瞳のスタンド>


「ポジションは後衛で、1年生の総合指導担当という事だそうです。全日本での経験も生かして、そこで得た練習方法とかを取り入れて行きたいと思っています。


「ダンス動画って、どんなの投稿してるの?」と真子コーチが訪ねた。

「ナイチンゲールズっていう元看護士3名でダンスチームを作って、病院やら、薬局の店頭で、ナースユニフォームを着て踊りまくるの」

「それ、やばくない」

「ちゃんと、事前許可は取ってるわよ。入院患者さんの一時の安らぎになれば、と思って、病院に勤めている時に始めたんだけど、それを同僚の看護師さんがインスタにアップしたら、バズッちゃって」


「俺は、アルチンゲールだけどな」

・・・・・・・

・・・・・

・・・

「あっ、そうそう、雨の日の練習は、ダンス練習するから」

「何、それ?」とほぼ全員が声を上げる。

「雨の日の練習といえば、体育館や教室で、ネット打ちとか、校内ランニングとかやけど、それじゃつまらん。

 ダンスは、リズム感を養う事が出来るし、やってみるとわかるが、けっこうきついぞ。体力作りにはもってこい。でも踊れるようになってくると、楽しいから、苦しくても続けられる。

 コーチの方々の、お腹の贅肉ぜいにくも落とせるし」

「贅肉なんかありませ~ん」

「本当か?」

「なんなら、見せようか」

「はい。よろしくお願いしますぅ~」

「誰が、見せるか!」

「それはともかくだ。ダンスコーチは、もう頼んである。青木 亜理紗コーチ、旧姓 矢部」

「あ、知ってる。ここの先輩ですよね。超有名ダンス教室の先生をやって見えるんですよね」

「ああ。先生でもあり、経営者だな」

「すごーい」

「という事で、思わぬ所で、もう一人のダンスコーチが見つかってしまったな。

担当が一つ増えてしまうが、真子コーチ、ダンス指導も よ💛ろ💛し💛く」

「💛はけっこうです。 ですが、ダンスコーチは引き受けます」


「では、その次の方、どうぞ」


「北川 美弥 後衛です。さっき紹介されなかったけど、私も全日本代表だった。これでも、世界選手権とかアジア選手権大会とかで優勝していますが、真子コーチとは、一緒になった時期はなかったです。さっきインスタグラマーの話があったけれど、私は、グラフィックデザイナー兼ファッションデザイナーです。」

「かこいい!  って グラフィック何とかってなんですか?」

「それは、後日、暇なときに説明するね。

テニスウエアーもデザインして、夫のお店で販売してます。

『セラ・ムーン』ていうブランドで、興味があったら、ネットで検索してね。


<セラ・ムーン。俺でも知ってるブランドだ。美弥コーチがデザインしていたとは。女の子らしさを強調した斬新なデザインが有名で、特に海外(東南アジア圏)で人気が沸騰している。みんな頑張ってるなぁ~>


「子供がまだ小学生なので、来られない日もあるけど、親と一緒の敷地に住んでいるので、親に子守を頼んで、できるだけ来られるようにしますね。

この中では、比較的まともな方だと思うの。だから安心して、何でも相談に来てね」

「なんか今の、問題発言じゃない?」と天音コーチが突っ込みを入れる。


「まあまあ、みんな似たり寄ったりだから、仲良く、仲良く。共食いしない」と葉山が、仲裁のつもりで入る。


「葉山監督が絡むと、火に油を注ぐというか、ボヤが、山火事へと大きくなっていくというか」

「だって、おもしろいじゃん。女の闘いって。巻き込まれるのは嫌だけど、傍から見ているのは、大好き。楽しすぎる」

「思いっきし、巻き込んでやる」

「ひぇーーー ご勘弁を」


「美弥の中ロブ って、いわれるぐらい、中ロブは得意で、後衛担当として、ロブを中心に指導していきます」

「美弥のタレ」っちゅうのは、どっかで聞いた事があるけどな」

「宮 違いです。」


 葉山が絡むと、わかる人にはわかる話だが、わからない人には、『さっきから、この人、なに言ってるの?』って感じになる。それでも、全然めげないのが、男 葉山であった。



 





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