第9話 コーチ陣自己紹介②
「お待たせしました。次のコーチ、よろしくお願いします」と葉山
「待った。待った、日野 真由香です。穂乃香コーチの前衛ね。
インターハイ個人3位、団体ベスト8 インカレ個人・団体優勝しました。
今は主婦なんだけど、元、国際線のスッチーだったから、英語はバッチシなので、テニスの他に、英語も教えてあげたいな。
社会人になって思った事だけど、英語が出来るってすごい武器になります。スマホの翻訳アプリの発達で、ある程度の事は出来るようになったけれど、仕事上では、やっぱり英語力は必要。
私がスチュワーデスになれたのは、仲が良かった1つ上の宮島という先輩に、英語の面白さを教えてもらい、英語に目覚めたから。
こうやって、みんなに出会えたのも、何かの運命だと思うの。
自分がしてもらった事を、みんなに返す事で、宮島先輩へのお礼に変えたいと思っています。」
「wonderful. I'm also good at English, so I'll spend three years improving your English skills as well.」
《素晴らしい。 私も英語が得意なので、3年間かけて英語力も伸ばしていきたいと思います。》
と、ネイティブな発音で、葉山が言う。」
<なんなの、この人?なに者?> ほぼ全員が、そう思った。
「ねえ、ねえ、今なんって言ったの?」と土屋 レミが、隣の、後呂 美織に聞いた。
すると真由香コーチが、
「今のを翻訳すると、『みんな素晴らしく綺麗なコーチばかりで、うれしいな』 って、すけべ心満載の本心が出た、言葉でした」
「I think so too」と阿部 千賀子が返し、「おぉー」と歓声が上がった。
「夫は国際線のパイロットだから、飛行機本体、お安くしとくね」
(んな、バカな)
<一連の流れをくみ取り、話を盛ってきた。さすがだ>
「それは、ともかく、テニスでは、ボレー担当だから、ポジショニングも含め指導していきます。共に頑張りましょう」
「はい、お願いします」
「そうだな、私を始め、ここに集まったコーチは、テニスを教えるために、集まっていますが、社会人の先輩・人生の先輩でもあるわけで、そこから学ぶ事も多いと思います。ここを卒業した時、いろんな事を教わって良かったと、この子たちが思えるように、コーチの方々もよろしくお願いします」と葉山が締めた。
「次、行ってみよう」と いかりや短介の、ものまねで葉山が言った・・・・
世代の違うクラブ員にとっては、何の事やら。コーチ陣にも全くウケず、見事に撃沈した葉山丸。
(せっかく、いい事を言っても、その後で、余分な事を言ったり、やったりするので、トータル、マイナスイメージのままで終わる男。それが葉山 俊博であった)
「後衛の、桜井 天音と言います。天の音と書いて、あまね ね。
学校の下に、『お食事処 雅』《みやび》ってあるけど、そこの美人女将です。
<確かに、超絶美人ではあるが、自分で言う所がすごい! ある意味、強烈なメンバーが集まってしまったな。 はぁ~この先どうなることやら>
と葉山は、春の日差しを全身に浴びながら、思うのであった。
「うちは、創作和食の奥座敷と、気軽に洋食が楽しめるレストランが融合したような変な店ですが、和洋食とも味には自信があるので、良かったら、家族全員で来てね」
<ん? みんなPRが多いなぁ~。ひょっとして、テニス指導よりも、そっちがメインだったりして。いやいや、コーチ陣を信じよう>
「あのぉ~、また、お口をはさんで、よろしいでしょか?」と葉山。
「あかん って言っても しゃべるでしょ?」と、天音コーチ
「おっ、この短時間に、葉山 俊博という、男がわかってきたねぇ。さすが!
コーチ陣に伝えておくけど、毎月、第二土曜日の19時から、月例の打ち合わせお食事会を、
(これも、とっさに決めた。葉山は、こういう 【とっさ決断】が多い。
よく言えば、決断・行動が早い。悪く言えば、思い付きで行動する事が多いタイプ)
発足したてのクラブに十分な予算などあろうはずもないので、本当の所は、葉山が自腹で全額負担するという事である。 <よっ 太っ腹!>
(もうすぐ50歳だが、実際、腹は全く出ていない。なんなら、見せようか。腹筋バッキ、バキの葉牙であった。・・・知らんけど)
「やったぁー」とコーチ陣から、歓声が上がる。
「ちなみに、偶数月に、保護者会も別に開きます。保護者の協力なしに、スムーズなクラブ運営は出来ないからね。詳しいことは、保護者用のお知らせを作って、みんなに渡します。」
「あのぉ~」と今度は天音コーチが。
「葉山様、よかったら、【雅】の定期券を、お作りましょうか? お値打ちにしておきますので」
「月、一人、何回以上行くと、元が取れる値段設定かね?」と、葉山。
「そうですねぇ~、おひとり様につき、月40回以上来て頂けたら、お値打ちになるかと」
「ぼったくりバーは聞いた事があるが、ぼったくり食事処は初めてだ!
定期券はけっこうです」
「そうですか、カモがネギをしょって来たかと思ったのに。残念」
<恐るべき、多岐商OGたち。この子たちに悪影響を与えなければよいが>
<それは、こっちのセリフですわよ。>
おのおののスタンドが、お互いにジャブを打ち始めた。
「言い忘れてたけど、在学中はインターハイ団体ベスト8、インカレ個人優勝、社会人になってからは、スポーツ用品製造販売メーカーの、国分ケンコー《コクブケンコー》の社会人チームで天皇杯優勝もしていて、日本代表チームの経験もあります。
英語も、お店に来る外国人のお客様対応のため、日常会話ぐらいなら出来ます。
では、『腹が減ったら、雅へ』をスローガンに、頑張っていきましょう」
<しょーもな>
余談ではあるが・・・
食事処 雅は、この地元では超有名店で、奥座敷は祝い事などの席として、会社関係では接待の席として、よく利用されていた。
道路側にある、ファミレス風洋食処では、Tボーンステーキとか、チーズハンバーグ定食が人気で、連日満席状態が続いていた。にもかかわらず、テニスのコーチが出来るのは、フランスで、料理修行をしていた息子が店を引き継いでくれ、ご主人と共に店を切り盛りしてくれている事と、腕のいい料理長がいる事。その料理長を慕って、次々と、若い料理人が集まってくれており、その若い料理人目当て ??? で、若い女子従業員も途切れなく来てくれているので、店を抜け出しても、影響が少なかった事などによる。
元々は、大名屋敷であった所を、お店に作り替えたので、格式もあり、庭園は、見事というより他はない。
テレビ番組でも、何度か紹介されており、今、若大将の願っている事は、
『せっかくだグルメ』に出演したいという事だった。 <しょーもな2>
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