第3話 なんじゃ こりゃ
クラブ員の募集には、小田先生と、宮下先生が積極的に動かれていた。
まずは、ソフトテニスクラブが復活する旨を周知する為、得意のパソコンで、部員募集のポスターを作り、前々から、テニスをやりたいと言っていた、1年生の阿部 千賀子 と 南條 ななみ に今後の大まかな計画を伝えた。そして、まずは自分達の知り合いのテニス経験者へ、急いで入部の声掛けをするよう頼んだのである。その声掛けした生徒から、更に経験者を紹介してもらい、クラブ員を増やしていくという、まさに、ネズミ講式会員募集。
この計画が、見事に的チュウ! 第一体育館で、合同クラブ説明会が行われ、その後、入部手続も実施された結果・・・
女子は1年生が、12名、集チュまった。男子は、1~3年生の合計14名で、男女ともクラブとして活動していける目途が立ったのである。
ちなみに男子クラブ員は・・・
3年生 志門 海翔 しもん かいと キャプテン
3年生 玉城 圭人 たましろ けいと 副キャプテン
2年生 北原 琉人 きたはら りゅうと 2年生キャプテン
2年生 入間 恭吾 いるま きょうご
2年生 城田 秀樹 しろた ひでき
2年生 佐橋 湊斗 さばし みなと
1年生 如月 孔明 きさらぎ こうめい 1年生キャプテン
1年生 流川 翔 るかわ しょう
1年生 木嶋 右京 きじま うきょう
1年生 仙道 傑 せんどう すぐる
1年生 仙道 馨 せんどう かおる
1年生 神崎 稔 かんざき みのる
1年生 越谷 武瑠 こしがや たける
1年生 児玉 優也 こだま ゆうや
一方、葉山は、コーチの人選に苦慮していた。
社長という立場上、会社第一で、どうしても、テニス指導は、その次となってしまう。そこで、自分の他にコーチを複数名置き、交代で指導が出来る体制を作りたいと考えていた。
そこで問題となるのが、コーチの人選である。
<藤江もいいな、でも、金城も捨てがたい。陣内もいいなぁ。あっダメだ。あいつは、ハチャメチャだからな・・・あー悩ましい!迷う~>
社長だけあって、人脈は広い。テニスも学生時代から、ずっとやっているので、コーチとしての人材候補は、数多く知っている。
今、考えているのは、メインコーチが自分 その下に、チーフコーチ、その下にサブコーチを設け、サブコーチは、全体を見る学年コーチ3名、及び、技術コーチの数名をと思っていた。
(技術コーチというのは、サーブ、レシーブ、フォアハンド、バックハンド、ロブ、スマッシュ、ボレー、戦術の8名を言う)
<あれっ? 全部でコーチが、何名だ?>
顧問を入れて、全部で14名! ハーレム状態やがね。
<まっ いいか。 長谷先輩なら、いいように、まとめてくれるだろう」
長谷 瞳・・・多岐商女子ソフトテニスクラブの黄金期を支えた、大キャプテンである。葉山の2つ上で、憧れの先輩でもあった。1年生の時から、インターハイメンバーとして活躍し、そこから県11連覇が始まったのである。1992年には、団体・個人ともインターハイ準優勝。その後、社会人クラブの名門、西芝姫路のキャプテンとしても活躍していた。もちろん、全日本代表メンバーである。その他、名賀屋市内の名門、高多高校のテニスコーチも経験している。
「こら!、そこの1年、なにボケっとしとる。どけぃ!」
私が、長谷先輩に、初めて声をかけてもらった瞬間であった。
胸キュンとは、こういう事か。
一目ぼれであった。いや 瞳ぼれ であった。
美しく、かっこいい! でも、怖い!怖いよぉ~ でもでも、そこが好き!
(要は、病気である)
長谷先輩が、多岐市内に居る事は知っていた。
国道沿いの、喫茶『白樺』に入った時に、偶然、店のカウンター内にいたのである。
歳を重ね、美しさは昇華していた。51歳ではあるが、40歳前半と言われても、十分通用する。
その後も、何回か、顧客との打ち合わせ と称して会社を抜け出し、『白樺』へ出向いていた。その度に、49歳の春(妄想)に酔いしれていたのである。・・・・コーヒーだから酔わんけど。
(こやつ、大丈夫か?)
・・・ここからは、2023年4月7日(金)のお話し・・・
ついに、告白日 を迎える。
「長谷さんですよね」
「はい、そうですけど」
「多岐商卒業生の葉山 俊博と言います」
「最近、よくお店に来ていただいてましたよね」
葉山:(おっ、気づいてくれていたんだ。・・・心臓の鼓動が早くなる。)
長谷;(なんか、いつも、ジロジロこっち見てたな。気を付けないと)
「先輩は、覚えてないと思いますが、僕は、2歳下のテニス部員で、今日は、先輩にお願いがあって、来ました」
「なんでしょうか」・・・(何か嫌な予感。スマホで録音しとこっと)
「実は、多岐商で、ソフトテニスクラブを復活させることになりまして、長谷先輩にチーフコーチとして、来て頂きたく、お願いに来ました」
「えっ、そうなんだ」
(心なしか、顔がパッと明るく輝いたように見えた)
「今回赴任された、校長先生が発起人で、あれよあれよと言う間に準備が進み、もうすぐ、入部者が決定する運びとなっています。」
「葉山さんは、後輩という事でしたが、なぜ私にコーチを?」
(憧れていましたから、とは言えない)
「実は、私が、メインコーチとして学校に招かれたのですが(本当は自分で応募したのだが)、仕事の関係上、常にコーチングをする訳にもいかず、複数名のコーチによる指導体制をとる事としました。そのコーチ陣をまとめられるのは、長谷先輩しかいないと思い、お声かけさせて頂いた次第です」
「じゃあ、いいですよ。引き受けます」
(おお! なんだ、このスムーズな流れは。これも校長先生の熱意の賜物か)
「しかし、全然記憶がないんですけど、3年生と1年生で、同じ時期にテニスをやってたんですよね」
(まあ、高校生の時は、目立たん男子だったからなぁ~。でも面と向かって、言われると、ショック)・・・恋の予感が脆くも崩れ去っていくのを感じた。
「葉山さんも、多岐市内で、お仕事されているのですか?」
「はい」といって、名刺を渡した。
「え!、〇〇〇〇の社長さん。」
「あのぉ~、この事は、誰にも言わないようにしてもらえませんか。
今は、校長と、男子のコーチしか知りません。いずれは知れ渡るとは思いますが、それまでは」
「ごめんなさい。変質者だと困るなって思い、スマホで録音してました。」と言ってカウンターテーブルの下から、スマホを取り出し、録音を止めた。
<えーーーーーーーーーーーー>
(再度、何かが、崩れ去っていく音が聞こえた)
・・・2023年4月13日(木)のお話し・・・
12名の入部があったとの連絡があったため、総務部長に仕事を押し付けて、会社を後にした。
今痔総務部長:<えーーーーーまた、逃げられた>
コートへ行くと、既に全員が、整列をしていた。
「なんじゃ、こりゃ」
それ以上に生徒は思った。
<なんじゃ、この人は!・・・めっちゃ危なそぉー>
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