先生と憧れ
オーラム・フェスティバルが開催されるその日まで、私とレイは結城先生たちが漫画(同人誌)を描くところを見学しながら過ごすことにした。
結城先生並びに、一ノ瀬さんと盾羽さんの了承を得ている。
結城先生は仕事場でさっそく同人誌の原稿に取り掛かって、一ノ瀬さんと盾羽さんは別々の部屋で各々の趣味を堪能しているらしい。
「創作は基本、ネタと情熱の二つを主に、“作りたいもの″で中心となる根っこが大事なんだ。 分かりやすく言えば、これから描きたいこの作品はダークファンタジーもので、このキャラがこういう目的を果たすまでを描いた物語。とかな」
「ジャンル分けとネタが重要なのは分かりますけど、
情熱が主に大事ななのはどうして?」
「“全て″だから。 これは実際に【ものづくり】をした
情熱はあらゆる物事においての動力源。つまり
ほら、純粋に愛と情熱をこめ続けて出来上がった作品と、情熱を抜きに整合性を保ちつつ常に質を意識している作品。
どっちの作品が面白そうと言われたら人によって意見が分かれるが、それらの作品を作り上げるには何事にも情熱が大事なのさ」
「じゃあ結城先生は、どうして漫画を描いているんですか?」
私がそう質問すると、結城先生は少し黙った。結城先生は窓から見える景色を見渡しながら私に語り始めた。
「子供の頃からよく漫画が大好きで、私はいつも漫画よくを読んでいた。子供の時から読み続けてきた漫画が好き過ぎて、自分で漫画を描こうと決心した私は漫画家を目指した。
ミライト学園に入学した私は即漫画部へ入部した。入部した漫画部の部長が私にとって、先生でもあって師匠でもあった。
私は
結城先生の師匠である漫画家は高校生でありながら大ヒットを遂げた漫画の原作者だった。結城先生もその
アマチュアである盾羽さんと同じだった当時、上手く漫画を描けなかった頃は自分の不甲斐なさを嫌という程対面させられたらしい。けど、結城先生は漫画を描き続けてきた。
何度も情けない自分の腕と対面してそう実感させられ続けても、結城先生が
よく小説家と漫画家の作家のことを“先生″と呼ぶのはどうしてだろうか?
作者の作品を通して、色々なことを学ばせてくれるからだ。
小説。漫画。特撮。ゲーム(シナリオ)。アニメ。映画。紙芝居。神話。歴史。演劇。
生まれながらに“知性″を授けられた人間は誰しも好奇心を持っているがゆえ、何かから生じる“刺激″を感じづにはいられない。
だから
ぐるぐると、腹から音が突如鳴り響いた。
「もう昼かよ! 時間が過ぎ去るのはあっという間だな。
っと話がそれた。長話に突き合わちまって悪かったな。退屈過ぎただろ? 私の話」
「そうでもないです。 むしろ、結城先生の知らない一面が知れて楽しかったです」
私は笑顔で結城先生にそう応えた。
「そ、そうか。それならなりよりだ」
ちょっとして私と結城先生は二階へ向かった。
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