第4話

「まず、お前が今からしないといけないことを話そう。お前の仕事は鎖を解くことだ。その鎖っていうのは人の心の中にある。その心の中に入って鎖を解いてその人を救えたら、仕事は完了。ただ、それだけ。俺の名前は、そうだな、お前が決めてくれ。」

猫は淡々と説明した。やはり毛繕いをしながら。僕は猫が話すところを見ながら、その

“仕事”のことについてではなく、どうして自分がその仕事をするのか、ということを疑問に思った。猫はそれがわかったのか、

「どうしてお前を選んだか、については...ちょうど良かったからだ。というのも、人の心に入るやつってのは生気がありすぎてもいけないんだ。入られた人に影響を与えやすいからな。だからと言って死人を使うわけにもいかない。そこで、ちょうどいい感じのやつを見つけないといけない。それがお前だった、というわけだ。」

つまり生気があまりないやつ、か。何だか妙にしっくりきて納得してしまった。

「わかった。その“仕事”やってみる。よろしく、ハチ。」

「ハチ?それは犬につける名前だろ?」

ハチは笑った。

「別にいいでしょ。僕が名前をつけるんだから。」

「まぁ、何でもいいがな。」

ハチはそう言って寝てしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る