第40話 佐藤の気持ち

40 佐藤の気持ち


二度寝しようと入った布団の中で・・・

ブルーな気持ちになる。憂鬱な気分・・・


俺って翔たんの役に立ってる?・・・全然立ってないよな。

寧ろ、只只甘えているだけじゃ・・・


「カケル君。カケル君。」小林が狸寝入りを見破って、声を掛けてきた。

「何か考え事ですか?」

「ふふふっ貴方にシリアスは似合いませんよ。何でも私に話して・・・愚痴でも良いですよ。」


佐藤はちょっと考えて口を開いた。

「コバちゃん・・・俺が親父の子供じゃなかったら、コバちゃんと俺ってどういう関係だったのかな?」


「どういう設定か分りませんが・・・多分何も変わらないかと。」


「何でそんな風に思うの?親父の子じゃなかったら、俺の世話焼かなくて済むじゃん。」


「はぁ?何を訳の分らない事を・・・」

「私は大旦那様から、何か命令を受けているという訳ではありません。

 どんな形で出会っていても、私は貴方の事を好きになっています。」

「世話焼きは、私の性分です。まぁ貴方は私の趣味みたいなものです。」小林がニヤリと笑う。


「俺もそう思う・・・」松井が言った。

「ごめん。聞こえた。でも俺もどんなシチュエーションでも、佐藤さんの事を好きになった。そして、小林さんに恋をしたと思うよ。」


「翔さんと何かあったの?」松井が聞くと


「俺、翔様の執事を辞めようと思う。」


「やっと俺の執事になる決心を?」松井が佐藤にハグをする。


「ちがうわい!!」

「・・・何でココロ君様は、俺を執事に?コバちゃんが居ないと執事の仕事なんて出来てないし・・・」


小林が笑顔になる。なんだ、そういう事か。

「私に有るのは、スキルだけです。只の事務仕事で執事の仕事ではありません。ねっココロ君様。」


「そうだね。小林さんに翔さんの執事は無理だろうね。」

「でも・・・小林さん、俺の執事なら出来るよ。うちに来る?」


「・・・考えておきます。」


「マジで?!やった。」


「あのー、お取り込み中スミマセン。」佐藤の後ろから桜田が顔を出した。

「話、全部聞いちゃいました。」


「げっ・・・翔たん。いつの間に。」佐藤が気まずそうにした。


「俺も話しに加わっても、よろしいですか?」

「って言うか、カケル。そういう話は俺としなくちゃね。」


「はい。ごめんなさい。」佐藤は何時になく愁傷な態度だ。



「解決しそうだな。」

「そうですね。」

松井と小林は向かい合って微笑んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る