第37話 松井の気持ち

37 松井の気持ち


松井は佐藤の寝顔を眺めていた。・・・可愛いな・・・

この人との出会いは運命的だった。全ては、この人から始まった。


以前は翔さんとの関係も、こんなに親密では無かった。只のビジネスパートナーだ。

この人を好きになって、翔さん達から色々な事を教わりながら

気が付けば、こんなに心を開いていた。


そして・・・この人の事を、遠くに感じる事無く・・・小林さんへの思が募っていった。

今でも可愛く愛おしく思っているこの人の前でも、正々堂々と言える。

俺は小林さんが好きだと。


貴方が教えてくれたんだよ。

人を愛する感情・・・慈しむ感情・・・大切な思い。

俺、小林さんに告白しようと思っている。


真っ直ぐに前を向いて・・・それで良いよね、佐藤さん。

内なる決心を佐藤の寝顔に誓う・・・


「!!あれっ!佐藤さん、何見てるの?」


「ふふふっ、ココロ君様の百面相。」


「何時から見てたの?」


「ん・・・少し前から、百面相面白いね。」


「ちょっと、声かけてよ~。」


「だって~面白いから。」


「そんなに俺の事見て・・・俺と浮気する気になった?」


「うん・・・いいよ、浮気しても」佐藤は流し目で松井を見た。


「えっ・・・マジですか!」


「コバちゃんと翔たんには、言いつけるけど。それでも良かったら何時でもど~ぞ。」


何て酷い事を言うんだ・・・それも、そんな妖艶な感じに・・・負けた!!


「ごめん。小林さんには言わないで下さい。」松井は軽くハグをした。

佐藤は勝って満足そうだ。


「おい!!俺にも謝れ。全部聞こえてたからな。」桜田はプンスカ言っている。


「冗談じゃん。ねぇ~佐藤さん。」佐藤と肩を組んで松井が笑っている。


「ねぇ~ココロ君様。」佐藤も笑っている。


「ねぇ~、じゃねぇよ!お前らいい加減離れろ。」2人を無理矢理引き離す。


「カケルを返して頂きます。」桜田はそう言って佐藤をこっちへ向けた。


「あんな浮気男に、ついて行っちゃダメ!!」


   ***


浮気男じゃねぇ~よ!!松井は心で叫んだ。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る