第36話 小林の気持ち

36 小林の気持ち


もう朝だ・・・明るい日差しに目を覚ました。皆を起こす前に準備して・・・今日は休日だ。

気怠い身体を動かして、小林は座った。


『君自身の幸せも考えなさい。』大旦那様に言われた言葉を思い出す。

私自身の幸せか・・・


カケル様と一緒に居る事、当然私にとってこの上ない幸せ。

この人の存在を抜きで、私の人生は有り得ない。


この人の全てが、愛おしい。愛情は溢れんばかりに有るのだが・・・恋ではない。

そういう対象では、ないのだ。

どちらかというと、子を愛する親の気持ち?父性愛みたいな。


それより恋に近い、気になる存在・・・


あの人(美作)の事や、この人(松井)の事・・・

彼らと居る時、所謂トキメキ?みたいな感情がある。


カケル様に抱く感情とは、明らかに別物だ。

でも・・・カケル様を超える事は、ないんだよなぁ。


ふと目線を落とすと、カケルがスヤスヤと眠っている。

あ~っ!!めっちゃ可愛い・・・癒やされるなぁ、この時間。


大旦那様・・・私幸せですよ。

何を持って幸せを感じるかは、人それぞれですからね。


人それぞれは良いんだけど・・・この人ちょっと寝過ぎじゃない?

目線を美作の方に向ける。朝食の準備とか、しなくて良いのか?気持ちよさそうではあるが。


仕方なく美作を揺り起こす。

「美作君、美作君・・・」


「あっコバちゃん、おはよう。」


「おはようございます。朝食の準備をしなくて良いんですか?」


「もうこんな時間だ。今すぐ準備をするよ。コバちゃん起こしてくれてありがとうね。」

美作は取り敢えず礼を言って、慌ただしく部屋を出る。


慌ただしい人だな(笑)と思いながら、視線を松井へ向けた。

「ココロ君様は、寝ていてもかっこいいなぁ・・・」ボソッと呟いた。


「有り難う。小林さんも、カッコ良いよ。」松井が目を開けて返事をした。


「わーっ!びっくりした。ココロ君様、起きていたんですか?」


「うん。さっき目が覚めた。」目が覚めると小林さんが居る風景って、良いな。

何か幸せ・・・毎日こんな朝を迎えたい。


「小林さん、一緒に住もうか?」


「ココロ君様、寝惚けているんですか?」小林は目を丸めて言った。


いつの間にやら、桜田と佐藤が起きていて見学をしていた。


「ねぇ、チューするかな?」

「そりゃ、ここはチューでしょう。」

「俺、チュー見たい。」

「チュー・チュー・チュー」手拍子と一緒に囃し立てた。


「・・・2人とも・・・殴りますよ。」


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