第33話 ツアー御一行様 4

33 ツアー御一行様 4


「知ってるよ。さっき聞いたじゃないか。」父が無表情で答える。


「言ってない。俺がどれだけ・・・」カケルの言葉を遮って父が言った。


「カケル・・・言葉で説明されなくても、分るよ。」

「桜田君、さっきは申し訳なかった。カケルの本気を試したくて、失礼な態度をとってしまって。」


「いえっ、とんでもありません。今、この状況が・・・幸せです。」


「翔たん・・・俺ら、恥ずかしい事を言い合ってるよ~。」2人の顔は、真っ赤である。


   ***


恋する2人は放って置いて・・・


「小林君、ちょっといいかね。」


「何でしょうか?」


「君は・・・松井君と美作君。どっちと付き合っている?二股は良くないぞ!」


「何の話ですか?どちらとも付き合ってませんけど。」


「何と勿体ない。早く決断しないと、二兎追う者一兎も獲られなくなるぞ。」


「流石、カケル君パパ。良い事言うよね。」美作がパパを応援する。

「コバちゃん、カケル君パパも言っているよ。早く結婚しよ。」


「けっ・・・結婚なんてダメだ。」松井が制止する。


「当たり前です。結婚なんてしません。そもそも、二兎追っているつもりもありません。」


「翔たん。あっち何か揉めてる。」


「うん。小林君が、怒っているね。」幸せの桜田は、高見の見物だ。


「コバちゃ~ん。虐められているの?」佐藤がヘルプに来た。


「そうなんですよ。助けて下さいカケル君。」小林にとっては、渡りに船だ。


「カケル、お前には桜田君が居る。これ以上の参戦は許さん。」威厳を持って父が言う。


「参戦って何?」


「小林君争奪戦だ。お前と桜田君は、参加権利は無いからな。」


「翔た~ん。何か面白い事やってるよ。こっち来て~。」


「オイっ!アンタ、俺の味方じゃ無かったのかよ。」迫力の小林に詰められる。


「・・・味方です。」佐藤が答える。


「面白い事って何~?」桜田が寄って来た。


「・・・」


「・・・」


「面白い事って、何だよ-!!」



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