第24話 えっ?!
24 えっ?!
「覚えていない・・・」早朝目を覚ました松井は、目の前の光景を見て呟いた。
「あっ・・・イカン、仕事だ。」と言って立ち上がると、そこには小林が居た。
「おはようございます。松井様。お着替えと珈琲を用意しております。こちらへどうぞ。」
と言って、案内をしてくれた。
「昨日はどうも有り難う御座いました。珈琲頂きます。」松井は着替えてから珈琲タイムを楽しんだ。
「今日はこれから仕事なので、お礼は後日改めて。」と挨拶をし
「桜田社長に宜しくお伝え下さい。・・・では。」
「行ってらっしゃいませ。」気持ちの良い笑顔で、小林が見送ってくれた。
***
「はい・・・それは良かった。また今度・・・是非。」
「佐藤~。松井部長から、お礼の電話を頂いちゃったよ。」桜田は嬉しそうに言う。
「飲み会、楽しんで頂けたという事でしょうか?良かったですね、桜田様。」
「松井部長は、少し前の自分とよく似ている。・・・」
「昨日の様な飲み会は、初めての経験だったと思うよ。」
「私達・・・私と松井部長の認識する飲み会は、・・・相手の腹を探り、社交辞令で煽てる。気の許す時間のない、仕事の延長だね。・・・」
「飲み会を楽しいと感じた事は一度もないし、佐藤に会わなければ楽しい飲み会なんて知らずに人生を過ごしていたよ。」
「そんな事ないですよ・・・少し早いか遅いか、桜田様はご自分で気付いたでしょう。」
「ねぇ佐藤・・・何かあった?」
「何もないですよ。」
「何か何時もの佐藤と違うって思うのは、気のせい?」
「まるで恋人の様な台詞で御座いますね。」
「えっ?そうでしょ?」
「えっ?そうなんですか?」
「じゃあ何だと思ってたの?ベッドの上では、震える子猫ちゃんのくせに・・・自覚無し?」
「私は子猫ちゃんじゃありません!しいて言えば・・・虎ですかね。野獣です。」
「そんな事より、お話が・・・」
「そんな事?・・・今、そんな事って言った?」
「申し訳ありません。少々気が急いていたので。」
「もういい!」と言って、桜田は拗ねて自室に籠もってしまった。
桜田は1人で考えたかった。・・・1人の幸せ、2人の幸せ。
佐藤は執事で、秘書で友達。・・・そして恋人。
もう戻ることは出来ない。このまま前へ前へと進むしか、道が無い。
2人が・・・私が彼の側に居る、私の側に居てくれる様に最大努力をしよう。
***
「小林、小林、佐藤を部屋に呼んで来てくれる?」
「カケル様は、ご実家に帰りました。」
小林は、無表情のままで答えた。
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