第18話 お昼寝

18 お昼寝


午前中、小林と超ド級ヘビーな話に頭が混乱中の桜田。


「カ~ケ~ル君・・・カケル~。」と庭の芝生から呼ぶ声がする。

美形男子のデレた顔もたまには良いものである。多少デレ過ぎ感は否めないが・・・


「桜田様・・・お呼びでしょうか。」佐藤は急いで駆けつけた。


「お呼びだよ~。淋しい~、甘えたい~、かまって~。」と子供の様な態度で言っている。


はぁ?!そんな事で呼び出し??・・・って顔で桜田をみる。


その表情を察した桜田は、真面目な顔に戻して

「佐藤、誤解の無いように言っておくよ。執事の一番大切な仕事って、何か判る?」

「それはね・・・明日の仕事の活力になる癒やしなんだよ。」


佐藤も得心のいった顔をして

「確かに・・・その通りだ。」と言った。


体よく丸め込まれたのである。


佐藤は、ピクニックマット・クッション・ティーセットなどを用意して桜田を座らせた。


「カ~ケ~ル、分って貰えて嬉しいよ。」・・・満面の笑みだ。


「ねぇ・・・その呼び方、何??」


「ん?可愛いでしょ?」


「全然、可愛く無いし・・・。」


「でもカケル君、この間の飲み会で私の事『しょうたん』って呼んでたよ。」

といいながらマットに寝転んだ。


「嘘だ~。」佐藤も寝転がる。


「やっぱ覚えてないんだ・・・ってかカケルくん、ずっとタメ語だよ。」


「甘えたいって言ってたので、この方が良いかと。執事言葉に戻しましょうか?」


「嫌だ。家に居る時は、この方が落ち着く。」と言って目を閉じた。


しばらく沈黙の後、佐藤が少し小さな声で

「翔たん・・・寝ちゃいましたか?」と聞いた。


「うん・・・。」桜田は同じく小さな声で返事をした。


「寝てないし。・・・どうしたの?何かあった?」佐藤が心配そうな声で問いかけた。


「別に・・・何もないよ。」眠そうに答えた。


「カケル~。」


「ん~。何?」


「・・・チュウして~。」


「・・・ダメ。」


「・・・ケチ。」


  ***


桜田は心の中で、小林に聞いた話を考えていた。

佐藤は何時か、私の前から イナクナル?・・・それは、何時?そんなの・・・怖いよ・・・。


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