第17話 告白

17 告白


10日程仕事が忙しくて、不眠不休・・・とまではいかないがかなり疲れたご様子の桜田。

佐藤もそれなりに、忙しく毎日を過ごしていた。

やっと、休みらしい休みが取れた。


「佐藤・・・お使いを頼まれてくれ。今日中に揃えて欲しいものがある。

 美作君、車を出してくれる?!一緒に行ってやってくれないか。荷物も多いし。そのまま遊んできてもいいよ。」


「了解で~す。翔様お任せ下さい。行くぞカケル君。」

美作は、佐藤とお出かけ出来る事が嬉しそうである。


「よろしくお願いね。あっ・・・小林に部屋に来るように伝えてくれる。」


「分りました。では、行って参ります。」佐藤は小林に伝言を伝えて、美作と出かけて行った。


  ***


先日の飲み会の日、小林から

「翔様、皆には内緒でお話したい事があります。お時間を作っては頂けないでしょうか?」

・・・と話を持ちかけられていた。


「翔様、小林です。」部屋をノックする音と同時に声が聞こえた。


「入ってくれ。小林君。」と桜田は小林を部屋の中へと促した。


部屋へ入って来た小林は、1つ大きな呼吸をして話を切り出した。


「今からする話は、いずれ翔様にも関係してくるので・・・先に御報告をさせて頂きます。心して聞いて下さい。」


「この話は、桜田の大旦那様と私しか知らない話です」

「私は実は、佐藤翔様のお目付役で御座います。」・・・小林はここまで一気に話をした。


少しの沈黙の後、小林は息を整えるかの様に深呼吸をした。


「???」

「佐藤翔様?・・・お目付役?・・・一体何の話をしているんだ。」桜田は展開を飲み込めない様子だ。


「カケル様は、某会社のご子息です。私の家は代々、跡目の方のお目付役をして居ります。」

「実はカケル様は、6年程前に家出を致しまして・・・酔狂な事に執事を・・・」

「桜田の大旦那様は、何かにお気づきのご様子でしたので、頼み込んでお屋敷に入らせて頂きました。」


再び沈黙の間・・・を破って桜田が口を開いた。


「小林君・・・私は佐藤が好きだ。執事も秘書も友としてでもなく。」

「今の私から、佐藤を奪う様な事をしないで欲しい。小林君・・・私は・・・」


小林が緊張の糸を解き、柔らかい笑顔で

「翔様なら、そう言って下さると信じて打ち明けました。私の願いは、カケル様の幸せです。」

「只・・・この話を聞いて、それでもカケル様と困難に立ち向かう覚悟がおありでしょうか?」


「勿論だ。何で・・・こんなに佐藤の事が好きになってしまったんだか(笑)」


小林が笑顔を引き締め直して

「それが、もう1つの困難で御座います。・・・カケル様は大変おモテになります。それが伝説の執事の所以に御座います。」


「成る程・・・。松井部長の態度が、今になって頷けるよ。」

「小林君、謝らなければならない事がある。この前、佐藤を強引に・・・未遂だったけど。」


「知っております。カケル様が幸せであれば、何も言いません。でも、泣くような事があれば・・・」

「この話と私の存在は、今は内密に・・・カケル様が翔様を選んでも、選ばなくても・・・。」

「実力で勝負して、カケル様の愛を掴んで下さい。」


 ***


「ただいま~!!」佐藤と美作、2人の大きな声が響いた。


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