第16話 飲み会再び

16 飲み会再び


はい、大旦那様。

もう翔様は大丈夫だと・・・

はい・・・はい、また御連絡致します。はい・・・失礼致します。


広い庭の片隅の目立たない所で、電話をしているのは小林だった。



***



「でも・・・結局、佐藤もさがしているんじゃないかな?たった1人の人を。俺と同じ様に・・・」


「そうかもしれませんね・・・」


「何か凄く嬉しい。」


「何がですか?」


「俺は佐藤の事、好きだよ。ずっと側にいてよ。」


「それは、桜田様次第で御座いますね。」


「佐藤。見事なツンデレ具合だ。キスしても良い?」


「そんな事を聞かれましても、どう判断すれば良いか・・・分りません・・・。」


「ダメだ。可愛いすぎる・・・」佐藤の髪を撫でた。


「お待たせしました~。」美作が勢いよくドアを開けた。


「あ~!!すみません。何かお邪魔しました~。」そのままドアを閉めた。


桜田は、すぐにドアを開けると・・・美作が顔を赤くして立っていた。

「いいよ。美作君・・・私の理性がぶっ飛ばない様に、今日はここに居て。

 小林も呼んで。また、皆で飲もうよ。」


「はーい。呼んできま~す。」と言ってドタバタと走って行った。


「佐藤。佐藤、今のうち・・・」ドサクサに紛れて、おでこにチュっとした。


「お待たせ致しました。入っても宜しいでしょうか?」慎重な様子の小林がドアの外から声を掛ける。


「どうぞ、入って。」桜田は何事も無かった様に、2人を部屋へ迎え入れた。


「おじゃましま~す。」美作は何時も元気印だ。


「色々と持って来ました。」小林は相変わらず、気を使っている様だ。


「あれ?カケル君、顔が赤いよ。熱でもあるんじゃ・・・?」小林が心配そうに言うと


「熱なんか、無いよね~。カケル君。」先の場面に遭遇してしまった美作がフォローを入れる。


「うん。大丈夫だよ。」佐藤は、目を反らしながら答えた。


「何かあったら、私に相談して下さいね。」小林も、訳有りな事に気付いた様だ。


「ありがとう。コバちゃん。」何とか笑顔を貼り付けて、答える。


 ***


気まずい雰囲気を、あちらこちらの隅に隠しながら、飲み会は盛り上がった。

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