第15話 仲直りの休日 2

15 仲直りの休日 2


・・・だから、笑顔だけは貫いて辞めていった。


「概ねの主の方は、大変驚いて下さいました。

 こんな事ばかりしていたら、その内仕事が無くなるなと思っていました。

 ですが・・・何故かそれが伝説となり、引く手数多となってしまった。・・・という訳です。」


「あのっ・・・この間、何で辞めなかったの?」すごく勇気のいる質問だ。


「勿論、辞めようと思いました。」


「・・・・・」桜田は顔を強ばらせた。


「松井様より、スカウトも御座いましたから。

 松井様はお優しい方ですし、私の事を好きだと言って下さいました。」


「うん。・・・佐藤は何で留まってくれたの?」


「あのまま凌辱されていたら、辞めていました。・・・まぁ未遂ですから・・・。」

「私の痛みを思って、泣いて下さいましたし。もう少しお側に居るのも、悪くないのかなと思って。」


「何より、『嫌わないで・・・』とか言って泣いている人を、そうそう無下にもねぇ。」

心の呟きが声に出てしまった。


「佐藤・・・今すっごい優しい顔で、何気にキツい事を言っているよ。」


100%佐藤が正しいから、言い訳は出来ないけど・・・何か悔しい。もう少しって言葉も気になる。

・・・・と心の叫び!!


「でも佐藤が好きだから、こんな展開になってしまったんだよ・・・」


「何となくは、分かっていました。以前の主達からも、よく告白をされていましたから。只、高飛車な態度なので・・・スルーをしてきましたけど。」


「佐藤って、凄く上から目線だよね(笑)今から佐藤の事を、小悪魔って呼んでも良い?」


「何ですかそれ?ダメです。」


可愛い顔をしているのに、凄く上から目線。我が儘で自己中だね。そのギャップに萌えるよ。

「でも・・・結局佐藤も、探しているんじゃないかな?たった1人の人を・・・俺と同じ様に・・・」


佐藤は、ほろ酔いでウトウトしてしまっている。


休日は有意義に過ごせたようだ。

暖かい日差しに思いっきり体を伸ばした。






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