第14話 仲直りの休日

14 仲直りの休日


はい、旦那様の予想どうりに・・・桜田様のご様子が変わられました。

本日は、久々の休日を楽しむ予定になっております。


***


「おはよう・・。佐藤、珈琲を入れたよ。起きて。」


「おはようございます。」と言うと佐藤は、ベッドの上に胡座をかいて何やら考え込んでいる。


「桜田様、一つ聞いても宜しいでしょうか?」


「何?」


「桜田様・・・私達は何時、主従を逆転したのでしょうか?」


「ははははっ、主従逆転か。中々面白いね。」


今日は佐藤に聞きたいことが沢山ある。久々にゆっくり出来る休日だ。色々と語り合いたい。

日差しが暖かい庭園の中に、お茶とケーキを持ってきて貰おう。

勿論、頑張るのは美作だ。


居心地の良さそうな、ソファで寛ぎながら桜田の方から話を振った。


「松井部長から聞いたのだけれど・・・佐藤って、伝説の執事なんだってね。」


「そうでございますよ。」くったくのない笑顔で答える。


「何が伝説なの?武勇伝を聞かせて。」桜田は、興味津々といったところか。


「直ぐ辞める伝説でございますよ。」佐藤は変わらず笑顔のままだ。


「主は桜田様で13人目になります。・・・短い時で、2日というものが御座いました。」


桜田は、流石に驚きを隠せない。

「直ぐに辞めちゃう理由は、何なの?」それだと伝説にならないのでは?と思いつつ聞いた。


「それは・・・ちょっと、恥ずかしくて言えません。」


「分かった。じゃあ、お茶をアルコールに切り替えよう。」

と言って美作を呼んでアルコールに変える準備をお願いした。

アルコールが入れば佐藤の口も軽くなるだろう。と思ながら。


「お待たせ致しました。」と準備を整えた美作が、ワゴンと共に入って来た。

ワゴンには数種類のお酒と、軽食とおつまみ。

美作がテーブルに広げて、出て行った後


取り敢えず酔わそうと、佐藤にお酒を勧めて頃合いを見計らい、切り出してみる。


「佐藤の武勇伝、伝説をもっと聞きたいな。」とちょっと可愛くおねだりポーズをしてみた。


「何が聞きたいのでござるか、翔たん・・・。」・・・酔ってる・・・


「何が原因で主を13人も変えたの?」取り敢えず聞いて見た。



「主の皆様が、考え違いをなされているからでござるよ・・・

 私達は本当の主従関係には、御座いません。金銭的な契約関係がそこにあるだけです。信頼関係を築くのには、それなりの時間がかかります。それを概ねの方は・・・」


「うん。・・・言ってる事分かるよ。」

桜田は、ポツンと言った。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る