第7話 ちゅっ

7 ちゅっ


「桜田様、おはようございます。」


「あぁ、おはよう佐藤。あれ?予定より早くない?」

「ちょっと、こっちに来て。」


「何でございましょう?」


〝ちゅっ〟


「何をなさるんですか?」


「ははっ、佐藤の反応が面白くてね。ついモーニングちゅうをね。」


佐藤は何事もなかった様に

「先ほど会社の方から、予定より早く出社して欲しいと連絡がございました。

 朝食を召し上がれたら直ぐに出発致します。」


「うん判った。ありがとう」


「かける君、今日も忙しいの?」美作が人懐っこく聞いてきた。


「うん、まあね。暇が出来たらまた遊んであげるから。」


「こらっ、かける君の仕事の邪魔をしない。」小林が美作を諫める。

「かける君、大丈夫だよ。あいつのお守りは私がしますから。」


「うん。コバちゃん、よろしくね。」


何だ何だ?3人とも随分と仲良くなってるじゃないか・・・・

「佐藤、用意が出来たから行こうか。」


「桜田様、カケル君いってらっしゃいませ~。気を付けてね~。」そう言って2人で見送ってくれた。


「では、参りましょう。忘れ物はございませんか?運転免許証は、お持ちになられましたか?」


「全部持ったよ。・・・でも、私が運転?」


「はい。私、運転免許の方は修得しておりません。」


「そうなんだね。・・・じゃあ、早く乗って。」




佐藤を隣に乗せた車中で・・・・

「佐藤は、給仕の美作 フットマンの小林と随分仲が良くなったみたいだね。」


「美作氏と小林氏は、同年代で少し私の方が年上であるという事で、慕ってくれております。」


「じゃあ、私とも同年代という訳だね。今度私も2人と話をしてみたいんだけと・・・」


「それは、2人とも喜ぶと思いますよ。段取りを付けておきます。」


「うん。・・・さぁ着いたよ。お仕事モードに切り替えよう。」


「承知致しました。」


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