第4話 初めての朝
4 初めての朝
桜田邸・・・桜田の部屋続きにある部屋が、佐藤の部屋となった。
トイレやシャワーなども付いている。あとは、本棚と机とベッドがあるだけの簡素な部屋だが、中々に良い居心地である。
「・・・・サマ」 「・・・・様」 「桜田様・・・起きて下さい。」
「朝食の支度が出来ております。お仕事の準備をなさって下さい。」
「おはようございます。桜田様。」
「おはよう、佐藤。着替えたら行くよ。」
その声を聞きながら、佐藤はキッチンの方へと歩いて行った。
佐藤もキチンとしたスーツを着た状態で迎えてくれた。
「スケジュールの確認を致します。お食事を取られながら、お聞き下さい。」
「午前9時より、重役会議。内容商品開発
午前11時半より、松井商事松井部長との会食
午後16時より、新作商品の記者会見
午後19時より、桜田様より時間を空けておくように言われておりましたので、そのように致しております。」
「佐藤・・・・口を挟んで悪いんだが、今何時だ?」
「後3分程で、9時になります。」・・・飄々とした表情だ。
「何故私は、ゆっくりと朝食を頂いているのだろうか・・・?」
「朝食は、しっかりと食べた方が良いと・・家の母ちゃんが言ってましたので。」
「じゃあ、何故もっと早く起こしに来てくれなかったのかな?」
「私もついさっき、起きたばかりですので。」
「なんだ。そっか・・・じゃな~い。遅刻だ~、急いで会社行くよ。」
桜田は会議に少し遅れると
連絡し、車を回して貰えるよう頼んだ。
佐藤も一緒に乗車する。今からは、秘書の仕事だ。
一見佐藤の仕事の量が、半端ない気がするが・・・
実際は、桜田邸では、家の事はハウススチュワードが問題なくこなしてくれている。
調理人も、優秀だ。フットマンも働き者で機転もきく。
佐藤は唯々、桜田のサポートだけで良い。
執事としてのスキルが完璧な佐藤には、朝飯前の仕事であるが・・・・
朝飯前に起きる事が難しい。
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