第3話 出会った2人

3 出会った2人


「佐藤 翔君、うちに来ないか?」桜田は、いきなり声を掛けた。


「うん。いいよ。」佐藤は、あっさりと答えた。

桜田は、思った。たった今した、自分の決死の決意は何だったのだろう・・・


「ひゅ~。大胆!!!」

「伝説の執事を口説き落とすとは!!!」

等と、驚嘆と冷やかしの混ざった声をあげている。


今までの自分には無かった即決と大胆な行動に、驚いている。それでも・・・

これで良いと思った。父の言っていた、自分だけの執事という存在・・・彼がそうなのかは、分からない。

それでも彼に賭けてみたい。そう思ったのである。


桜田は、詳細を話し合いたいので

「これから、時間とれる?」と聞いてみた。


佐藤はそれをも、あっさりと快諾してくれた。

この人は・・・・・暇なのか?と思うほどの即答であった。


「とにかく場所を変えよう。友達の皆さん、佐藤君をお借りいたします。」

桜田は、友達への挨拶を済ませて佐藤とどこかに消えていった。

「やるな~!」

「タイミングがピッタリだ。強運の持ち主かもな。」などと、冷やかしの見送りを受けながら。



10分程歩いた先の おしゃれカフェ・・・・少しざわつく店内・・・

かっこいい男子2人組に、外のテーブルからもチラチラと視線を感じつつ本題へ入った。


「最初に佐藤君に、言うべきことがある。私は秘書を持たない主義なんだ。」

佐藤の顔を正面から見る。

「私は、家では執事。会社では秘書。プライベートで友人と・・・そんなに色々な人間関係を築ける程 器用な人間ではない。場面場面でのスイッチングが面倒なんだ。」

「只1人、信頼できる人にずっと側にいて3役をこなして欲しいんだ。それが、佐藤君かどうかは判らないんだけど・・」


少しの沈黙を破り、佐藤が口を開いた。

「はい。ご期待に添えるように努力してまいります。」


こうして契約は、あっさりと結ばれた。



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