第2話 桜田 翔

2 桜田 翔(サクラダ ショウ)


桜田 翔は、一応会社の代表取り締まり役員である。 

とは言っても、父の会社を継いだばかりで毎日何をしているかと言うと

ひたすらストレスと戦っている。


父と言えば、早々に引退を表明したかと思えば悠々自適生活

時を同じくして、幼い頃より慣れ親しんでいた執事もハウススチュワードへと昇格。

「自分の執事を探しなさい。」とだけ言い残し2人で旅行に出かけてしまった。

世界中を回るつもりか、殆ど家には帰ってこなくなった。



と言う訳で、友人に教えて貰った執事スキル専門学校とやらに見学に来ていた。

このスキル学校、スキルを学ぶと言うことはもとより

職安の機能も果たしていた。寧ろ、職安の機能の方が上だろうか。

あちらこちらにスカウト目的で、下見に来ている人たちが・・・・

かく言う自分も、その1人ではあるのだが。


只今休憩中らしく、何人かのグループに分かれて雑談中らしい。

リスト一覧(抜粋)に目を通す。

日系三世マイケル・・・高身長の高橋 圭一・・・佐藤 翔・・・カケルと読むのか。



「しょう!!」友人が呼びながら近寄ってきた。その時

佐藤 翔君が声に反応して、振り向いた。 あれ???

「確か君の名前って、カケル君だよね?。」

桜田は疑問に思った事を、そのままには出来ない性格だった。



その問いに答えたのは、佐藤の友人達である。

「かけるって翔って書くんだよ。おとぼけちゃんな彼の事は、許してやって。」

「そうそう。こいつってこう見えて伝説の執事だからさ(笑)」

「うんうん。甘々伝説な。」


桜田は一応の空気をよんで、笑っている。処世術である。


この人は、何を思っているのだろう。友人から、おとぼけちゃん・伝説・甘々の三冠の称号を

貰っているのに、そちらの反応は薄く別のツボで爆笑している。

友人達も心得たもので、そんな佐藤の背中などをトントンと叩いて介抱している。


「佐藤君、君友人におとぼけちゃんって言われているよ。大丈夫なの?」

桜田は またしても疑問をそのまま口にしてしまった。

「うん。だいじょ~ぶ。」と言いながら、佐藤はまだ笑いのツボから出られていない。


桜田は、この不思議な空間に居心地の良さを感じていた。

もしかして、この人なら大丈夫かも・・・






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