第7話 添い寝でおやすみなさい

「じゃあ……添い寝をしますね」

「先輩と一緒のお布団でー……。一緒にくっついてー……」

「ぎゅーってして、寝かしつけてあげます」



「あれー、せんぱーい、もしかして照れてますー……?」

「……ウチも、ほんとはちょっと、照れてますけど」

「えへへ。やっぱり慣れないですね」



「電気、消しますね」



//SE ぱち、と電気のスイッチを切る音



「お布団にお邪魔しますよー」



//SE 布団に入る。布の擦れる音



「先輩? ……えへへ」

「ちょっと狭いですね」

「でも、なんでか、狭いのが嬉しいっていうか……」

「変ですね。こういうの」

「不便な方が嬉しいなんて」



「先輩」

「もっと近づいてもいいですか?」



//SE 布団の中で距離を近づける。布の擦れる音



「……よいしょ」

「…………」(ゆっくりした呼吸)

「なんだかたまに、不思議な気持ちになります」

「こんな近くに先輩がいるんだなぁって……」



「ぎゅってしますね」

「ぎゅー……」



「こうしてると、先輩の体温を感じます」

「あったかくて……生きてるー、って感じです」

「安心するな……」



「……お仕事の日とかって、先輩、おうちにいないじゃないですか」

「それ、いつも寂しいなー……って」

「我慢しないと、ですけどね」



「だからこういう時に、充電させてもらうんです」

「ぎゅうー…………ってして、先輩から取れる栄養を取り込んでおきます」



「こうしたら先輩がいない間も、けっこう持つんですよ」

「それでもやっぱり寂しくなってー……、夕方とかぼんやり過ごして……」

「先輩が帰ってくると『うわー先輩だー!』って一気に元気になります」



「ご主人様が帰った時、ぱたぱたーって来るわんちゃんとか、こんな感じなのかな」

「大好きなご主人が帰ってくると、嬉しいですよね……」

「……言ってて思いましたけど、ウチも先輩好き過ぎですね。えへへ」



「もちろん、ウチが充電してるだけじゃ悪いので」

「先輩も、ゆーっくりして、眠ってくださいね」



「お布団の上から、ゆっくりしたリズムで、とん、とんってしますよ」

「とん……とん……」

「とん……とん……」



「…………」

「……ふわぁ……むにゃ」

「……へへ。ウチも眠くなってきちゃった」



「先輩も、ねむたいですよね」

「ウチが……寝かしつけてあげますからね……」



「先輩はいつも頑張ってますから……」

「ウチといる時くらいは、力を抜いてください」



「とん……とん……」



「何も考えないでー……。脱力してー……」

「眠りに溶けていくような……」



「そーです……上手……」

「……えらいですね。先輩。いつも、がんばって。えらい……」

「先輩のことが大好きな後輩が……いつも見守っててあげますからね」



「よし……よし……」

「えらいです……」

「ふわぁ……」



「先輩……好き……」

「ずー……っと、一緒にいてくださいね……」



「…………」

「おやすみなさい……先輩……」









――――――――――――――――


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なぜかうちに居着いてる後輩に問答無用で甘やかされてる〜距離感の近い後輩と始める、だらっと癒され生活〜 じゅうぜん @zyuuzenn11

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