いけいけ勇者様19

最上司叉

第1話

魔王は悩んでいた。


このまま婚約者と結婚していいものか。


好きか嫌いかも分からない相手との結婚。


しかも婚約者を好きな魔族の女もいる。


魔族の女にいっそ婚約者を譲ったほうが良いのではないかと最近思い始めている。


そんなことを考えながらいつもの魔物退治にきていた。


「どうした?考え事か?」


「なんでもない」


「そうか…気を抜くなよ!怪我するぞ」


「分かった」


そして魔物退治を無事に終えて近くの草原で俺たちは弁当を食べ始めた。


とそこに魔物の子供が魔王の足元にじゃれついてきた。


「なんだお前親はどうした?」


「近くにはいないな」


魔王は魔物の子を可愛いなと思い抱き上げる。


「どうする?」


魔王は俺に聞いてきた。


「退治するのも可哀想だな」


「このままにも出来ない」


「そうだな…」


「…」


俺たちは考えている。


魔物の子はキューと愛らしく鳴いている。


俺は決断した。


「連れて帰るか」


「いいの?」


「しょうがないからな」


「うん」


魔王は喜んでいる。


とそこへ話し声が聞こえてきた。


「まぁ若い夫婦は良いですね」


「私たちにもあぁゆう頃があった」


「そうですね」


俺たちは黙ったまま俯いた。


照れくさかったからだ。


魔王は照れくささを隠すように慌てて言った。


「さっ帰ろう」


俺もつられて言った。


「そうだな」


帰り道2人は少し気まずかった。


そして家に着いた。


「この子猫と仲良くできるかな?」


「分からない」


「そうだね、考えても始まらないよね」


「?」


魔王は何かを振り切るようにそう言うと家のドアを開けた。


「ただいま」


すると皆が魔物の子に注目した。


「なにこの子可愛い」


「親がいないみたいだから連れてきた」


「そうなんだ、よろしくね」


魔物の子はキューと鳴いている。


魔王の心配をよそに魔物の子は皆とすっかり仲良くなった。

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