第63話 悪魔との対談

「ふむ…そこのゴーレムは私と戦える位の力量はありそうだな。無論手加減した時に限るが…」


『主様とりあえず逃げるのは不可能だということがわかりました。周囲に結界が張られていて逃げようと思ったら中心に戻ってきてしまいます。』


「結界を壊すにはあの悪魔を殺さないといけない感じなのか?」


『おそらくは…この手のタイプの結界は十中八九スキルによるもの…時間制限がないと考えると刺し違えてでも倒さなければ、この結界内から外に出ることは出来ません。』


「まじか…でもあいつを倒すなんて…」


『ほとんど倒せないでしょうね…それ以上にまともにダメージを与えられずに終わる可能性が高いかと思われます。おそらくLV差も大きいでしょうし…私のみが戦えるという発言からもルージュが憑依を解除すればやられてしまう可能性が高いです。』


「ルージュは何があっても憑依を解除しちゃ駄目だからね?アロンが悪魔と戦うには君の力も必要なんだ…できるよね?」


俺がルージュに向かって問いかけると力強く鳴いた気がした。俺は悪魔の視線の先に立って話をすることにした。


「なぁ…あんたは悪魔界では公爵の地位についていたんだよな?」


「あぁ私に言っているのですね。弱者には正しい答えを返さなければいけないのが悪魔のルールです。ルールに則って正しい情報を貴方に共有すると、それは本当です。私は公爵の地位に君臨する悪魔です」


「なるほど。それで何だけどさ…悪魔って権能を持っているんだろう?俺は知っているぜ?」


「ほぅ…昔にもそんな事を聞かれたことがありましたね…貴方はなんの権能を講師してほしいんですか?」


「いや…俺はあんたに聞いてる。あんたの権能を教えてほしいんだ。」


「これから戦う私の権能を知りたいと申しますか…まぁ構わないです。私が持つ権能は主に2つ…1つ目は空間を一時的に支配することが出来ます。この支配している間は私という存在がこの世界では一番という風に認識が書き換えられます。」


「なるほど…つまり空間を支配して空気中の構成を変えれば俺らみたいな人間は虐殺できるってことだな。」


「そのつもりはありませんけどね。悪魔は人間と共存関係ですから、皆殺しにすれば他の悪魔からも不興を買います。それこそ同じ地位につく悪魔や上の地位に居る悪魔とも敵対することを考えればする悪魔は居ないでしょうね。」


「公爵よりも上の地位を持つ悪魔はいるのか?」


「もちろん居ますよ。公爵の上には君主という地位が存在しています。公爵の地位についている悪魔は合計で7体居ますが、君主は一気に数が減って2体に減ります。その2体の悪魔は公爵の悪魔が全員でかかっても勝てないほど強いのです。」


「そんなに強いんだったら王はどれくらい強いのか気になるね。」


「…現在の王は弱体化しているんですよ。我らの王は弱体化してもなお君主よりも強いのです。君主が王を除いた最高位なだけに反乱を起こしても勝てないのを理解しているから辛うじて維持できてるのです。」


「でもさ、その君主の地位にいる悪魔が共闘して反乱を起こしたらどうなるの?」


「本来の王の力は、君主の地位の悪魔を赤子の手をひねるように軽々と殺すことが出来ます。数体になったとしても代わりはないでしょう…なので君主の地位の悪魔が二体共同で戦った所で王に勝つことは不可能だと思うなぁ〜」


「なるほど…なんとなくだけど貴方が居る世界の事を把握できました。ちなみになんですけど貴方の権能のもう一つはなんですか?」


「ちゃっかりしてるね〜人間はそういうところに知恵が働くから好きなんだよね〜それじゃあ教えてあげるよ。俺のもう一つの権能をさ?」


「…それで一体何なんですか?」


「まぁそう焦るなよ。俺のもう一つの権能はなぁ…時間の支配だ。空間と時間を支配するのが公爵の地位に立つ悪魔である俺様ベリアルの特権だ。」


「空間と時間を支配する悪魔ですか…まるで神のような力ですね。」


「おだてたって何も出ないぞ?まぁ褒められるのは悪い気がしないがな。さて…それじゃあそろそろ血湧き肉躍る戦いをしていこうか!!」


これは後にわかったことだが、この公爵の地位につく悪魔ベリアルと契約をしたのは『雋。蝗」髢「菫り?』だったらしい…













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