第59話 合流までにかかる時間は?

俺が警戒しながら周囲を見渡していると、遠吠えのようなものが聞こえてきた。まるで狼のような…でも狼にしては変な遠吠えな気がする…


狼の遠吠えなんて映画とかでしか聞いたことはないけど、おおよそこんな声ってのは分かる…でも今回聞こえたのは唸り声というか…なんというか…ともかく普通の声ではないのだ。


「…やっぱり敵か。どういう風に対処しようか…アロンの方にも敵が来ているとなるとなるべく急いで合流したほうが良いんだけど、合流しようにも時間が掛かるし…こっちからじゃアロンの方には向かえないからな…」


あの血がそこら中にこびりついているせいで、そもそもまともに歩くことさえこんなんだろう…そんな状況で戦闘をすれば負けるのは目に見えているだろう…つまりここで迎え撃って、アロンが到着するまで耐える必要があるということだ。


「なんか出来すぎている気がするんだよな…配信を始めてからここに来たわけだろう?もしかしたら異常種となにか関係があるのかもしれないし…無視することも出来ないな。もし無視したらそれこそ周囲を襲いに行くかもしれないし…」


周囲の街などに襲いにいかないという保証はないから、できればここで倒してしまいたい…でもそんな事ができるのだろうか?


まともに戦う力を俺は持っていないし…強いて言えばアイテムくらいだけどそのアイテムだって残り少ない…もしアイテムが底をつきたら俺はモンスターにやられておしまいだろう。


「くっそ…どうすればいいんだ。このままだと確実にやられる…それに大髪型のモンスターが相手なら隠密も意味がないし…アロンを置いていくわけにもいかない。…そうだ電話を使えるんじゃないか?連絡を後でするから電話を用意しておいてって言われてたしな。」


俺はスマホを取り出してすぐに電話をかけた。案の定直ぐに電話が繋がり話をすることが出来た。


「アロン!!すぐにこっちに戻ってきてくれないか?」


『どうしましたか?』


「こっちでモンスターに襲われそうなんだ。アイテムでも対処できるけど限界があるからすぐにでも離脱したい。出来ないか?」


『観察を始めてからまだ数十分しか経っていないので、正直もっと見たいというところもありますが、主様が最優先なので動きます!!場所の指定とかありますか?』


「特にない!!前回おろしてくれた所で大丈夫だよ!!」


『かしこまりました!!すぐに向かいます!!』


「それとなんだけど…アロンの方には敵は来てない?」


『来てませんが…どうかされたんですか?』


「俺の方にも来てるからさ…もしかしたらアロンの方にも敵が来てるんじゃないかなって思って…」


『なるほど!!一応周囲を警戒しながら観察していましたが、特に以上は見当たりませんでした。モンスターが接近してくればそれこそすぐに分かりますので、ご安心を…』


「わかった。とりあえずアロンの方にモンスターが行ってるんじゃなくて安心したよ。」


『むしろ主様の方にモンスターが来たことのほうが問題なのでは?もし知能があるモンスターだとすればテイムのことについても何かしらの手段で聞いている可能性があります。孤立した主様を狙うこともあるかと…』


「そんな事ができる子がいるんだ…」


『もしくは…そのモンスターが何者かに操られているとかですね。その場合、主様は命を狙われているということになります。私が到着するまで今しばらく警戒を続けてください。』


「ありがとう。それじゃあ頼んだよ?」


『かしこまりました。4分ほどで到着するのでお待ち下さい。』


アロンが来るまでには4分かかるのか…もしモンスターから攻撃を受けたら若干めんどくさいことになるから気をつけないと…


それに予想通りのモンスターだったら、見つかったら一巻の終わりだな…













今日も見てくださりありがとうございます!!次回もお楽しみに〜!!


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