第34話【暴露】異常種の衝撃
「アロン…誰か来る!!一応罠をはってはあるけど期待はしないで!!」
『分かりました…ですが、異常種ではないようです。おそらく人間だと思います!!』
「本当に助けに来てくれたのかもしれないな…正直期待していなかっただけに、少し申し訳ないな…」
『主様おかしいと思いませんか?ダンジョンの入り口が塞がれていたのを確認して直ぐに行動を開始したのだとすれば、時間をかけすぎです。おそらく主様のことを助けるかでもめたのではないでしょうか?』
「…入り口が閉鎖されてからどれくらいの時間が経ったのか分かる?」
『ダンジョンの入口が閉鎖されていたのを、目視で確認した段階から現在までで最低でも30分は経っています。つまり主様のことを上層部の人間の内、助けようと動かなかった人がいるということではないでしょうか?』
「やっぱりそうだよな…まぁあんな組織に期待なんてしてないんだけどね。やっぱりがっかりすると言うか…」
『そうですね…主様10秒後にこちらに接触してくると思います。一応警戒をしておいてください』
「わかった…」
俺とアロンが背中を預けあって警戒をしていると、目の前に人が出てきた…
「君が涼介君だね?」
「そうですけどどうかされましたか?」
「よし…対象を発見した!!こっちに来てくれ!!」
「あの〜俺の事を助けに来てくれたんですか?」
「そうだよ。我々はこのダンジョンの管理人だよ。」
「それじゃあ一つ聞きたいことがあるんですけど…良いですか?」
「どうぞ…何が聞きたいんですか?」
「ダンジョンの入口が封鎖されたのっていつか分かりますか?」
「ダンジョンの入口が封鎖された時間かい?どうしてそんなことを知りたいのかな?」
「もし悪意を持って閉じ込められたなら、ここから出たら追求する事に正当性が生まれるじゃないですか。だから知りたいんですよ。」
「わかった…確か、このダンジョンの入口が封鎖されたのは記録上は午前1時だ。」
「午前一時ですか!?一体どうして…」
「上層部に掛け合ってみたが、自然に入り口が封鎖されてしまう例も確認されているということで事件性はないと判断された…君の恨みは理解できるが…納得してくれると嬉しい」
「納得できるわけ無いじゃないですか。俺は死にかけたんですよ?このダンジョンじゃ出現しないようなモンスターに追われながら、なんとか生き延びてここに居るんですよ!!」
「ダンジョンの入口が閉じてしまっていたのは本当に済まない…すぐにでも開けたほうが良かったのだが上が承諾してくれなくて…」
この国って本当にダメなんだと理解した。上からの命令じゃないと、下の人間は動きもしないのだ…
「あんたらは上からの命令を聞かなきゃ自分たちで判断できない奴隷なのか?独断でも人命救助をしたほうが良かったんじゃないか?助けてもらってる立場じゃ言いにくいけどな、怒ってんだよ!!」
「…上層部は君に危険に合わせてしまったことへの慰謝料を支払うそうだ。それで納得していただけないだろうか?」
「…本気で言ってるんですか?俺訴えさせてもらいますから。こんなことをされて金をもらって問題にしないでくれって言われる筋合いはない!!自分たちも同じ目に合えば良いんだよ!!そうすれば俺と同じ様な行動をするだろうからさ!!」
「わかった。とりあえずダンジョンの入口は既に開放されているから、外に出よう。」
「…いいでしょう。但し一つ言わせてもらいます。ダンジョンの入口が閉じてしまっているのを確認したならすぐにでも行動をしてほしかったです。今の今まで何をしていたんですか?ってなりますよ。」
「本当に申し訳ない…君の怒りはごもっともだ。君がされたことを思えば金で解決をしようという上層部の考えには俺等も呆れているんだ…」
「…」
「俺等はね…そろそろ集団ストライキするつもりなんだ。」
「集団ストライキですか!?ダンジョン省の職員はストライキをしてはいけないと言う風に言われているはずでは?」
「そんなの関係ないよ…人命救助のために金を渋って時間だけを浪費する組織には心底幻滅したんだ。この前も同じ様な事件が起こった時、金で解決を図った組織だ…正直皆愛想が尽きてるんだよ。」
「そうなんですね…とりあえず外に出るのを優先しましょう。」
俺はこのままの流れでいちばん重要なことを伝えることにした。
「このダンジョンに新しい種類のモンスターが居たんですけどどういうことなのか説明してもらえませんか?」
「新しい種類のモンスターについて我々はほとんど情報を持ち合わせていない…ただ、そのモンスターが高位精霊を倒すことが出来るだけの力を持っているのは知っている。」
「やっぱり高位精霊は倒されていたのか…」
悪いほうの予感が当たったな…これは不味い…
「高位精霊を殺ったのは、異常種のモンスターです!!一度戦いましたけど相手になりませんでした…なので早く逃げましょう!!」
異常種というのを初めて聞いたのか、俺を助けに来てくれた二人はポカーンとしていた…
今日も見てくださりありがとうございます!!
小説のフォローや星での評価をしていただけると幸いです(^^)
異常種という存在がついに、世間にバレますよ!!
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