第16話【事件の裏側】交差する思惑

日本のとある場所にて、数人の大人が部屋に集まって会議を開いていた。



「今回起きた事案は、機動部隊Δに対処させれば問題はないでしょう。異常種を討伐することが可能だったとはいささか驚きました。」



「全くです。確か、『ツインヘッド』の名を冠するゴーレムでしたっけ?非常に厄介な存在になる可能性が高いので、機動部隊γ-1に処理させたほうが良いのではないでしょうか?」



「おいおい機動部隊を纏めているのはC-3である俺なんだぞ?『C-2』は黙っていてくれ。」



「それでは今後どうするんだ?あのモンスターが計画に支障をきたす可能性が高いことはこの場にいる全員が思っていることのはず!!あのモンスターをテイムしている奴を殺すなりして、対処しないといけないんじゃないか?」



「既にテイムしている人間については調べがついています。こちらの報告書をご覧ください。」



「これは…?」



「我々諜報部隊が得意としている情報収集ですよ。生まれた直後からのすべての情報をそこに記載してあります。」



「やはり君たち諜報部隊がこの財団内で一目置かれているだけのことはあるね…財団外の諜報部隊ではここまでは調べることが出来ないだろう。諜報部隊隊長に、一週間の休暇をあげよう。」



「ありがとうございます。ですが、一週間も空けて良いのでしょうか?」



「君が心配しているような事態に陥ることはない。現在、我々が管理しているアイテムの中に、『ハウスウェルの天眼』というアイテムがあるのだが、そのアイテムが反応しない限りは大丈夫だろう。」



「『ハウスウェルの天眼』ですか?それは一体どんなアイテムなんでしょうか?」



「そのアイテムは…」



『C-5及び、諜報部隊隊長オルソン・パーマネント懲戒処分を下されたいのですか?』



「この声は…C-1様!!」


部屋に設置されていたテレビから、音声が流れた瞬間に部屋には緊張した空気が漂う…


『オルソン・パーマネント君は記憶処理室にてA級の処置を受けてきなさい。これは命令です。逆らった場合は即時処刑します』



「かしこまりました。記憶処理室にてA級の処置を受けてきます。」


部屋の中にいるのがこの財団において最高責任者だけになった所で、『C-1』が再び喋り始める…



『諸君。我々財団の理念は覚えているか?』



「もちろんですC-1様!!我々の理念は、『モンスターをこの世界から排除して、元の人間世界に戻す』ですよね?」



「C-3落ち着き給え。我々はこの財団の最高責任者だ。」



『そのとおりです。我々は財団の最高責任者であり、一人の人間です。そしてモンスターによって甚大な被害を受けた人間の集まりでもあります。胸の中に持つ気持ちは同じです。』



「C-1様。今後の方針についてどうされますか?現状、計画を遂行するのに問題はないと思いますが、あのゴーレムが非常に厄介です。おそらく我々が持つ通常の兵器や、特殊装備を用いても勝算は低いと考えます」



『あのゴーレムについては私も目を通しました。非常に厄介な耐性を持ちなおかつ再生能力を持っています。更に、体力が減少すると暴走しステータスが著しく増加するようです。この施設の内部で暴れられたら4割ほど被害を受けるでしょうね。』



「それではあのゴーレムに関してはどうなさるつもりなんですか?対処しないという訳にはいかないでしょうし…」



『忘れたのですか?C-3我々財団は既に日本を含めた計10の国家を支配下においています。いつでも協力させることなど容易いんですよ。』



「なるほど…しかし、協力させるとして何をさせるんです?」



『日本には懐柔のスペシャリストが居るでしょう?彼女を使います。彼女にゴーレムをテイムさせて、ここまで連れてきてもらいます。倒せないなら、管理して我々の計画遂行に役立ってもらいます。』



「確か…八谷美世という女でしたっけ?日本ランキング2位の…」



『そのとおりです。彼女は我々に全面協力してくれるでしょう。』



「どうしてそのように言い切れるのでしょうか?彼女が協力しないという可能性も十分に考えられると思うのですが…」



『いいえ間違いなく協力するでしょう…彼女の弱みを我々は握っています。過去にしてきたこと全てを暴露すると脅せば従ってくれるでしょう。』



「なるほど…しかし、テイムしているモンスターで攻撃される恐れがあるのでは?特殊装備を着ていても、レベルの高いモンスターには敵わないことだってあります。」



『…これは未公開情報ですが、今この場で公開しましょう。先日私は1人の孤児を連れてきました。孤児が持つ能力は、「拒絶」と「付与」でした。拒絶というのは全ての攻撃に対して強力な耐性を与えるというものです。ここまで言えば賢い貴方達であればわかるでしょう?』



「なるほど!!その拒絶を付与で装備に付与するということですね!!」



『そういうことです。というわけで、C-11頼みましたよ?貴方には期待しているのです。』



「かしこまりました。一つお伺いしてもいいですか?」



『どうぞ。』



「これからは人目にうつりながらも行動する必要があると思われます。現場の指揮は誰が取るべきですか?」



『現場の指揮には、C-3とC-5及びC-12に当たってもらいます。頼みましたよ?』



その言葉を最期にテレビ画面からの音声は流れなくなった。そして、財団の最高責任者達はそれぞれ行動を開始した…







<登場人物及びそれに準ずる説明一覧>


C-1…対等な関係のはずのC-2〜C-12からも崇拝されている謎多き人物

C-2…推定60歳のアメリカ人。モンスターに関する知識が豊富で驚異的な記憶能力を持つ。

C-3…推定20歳のアフリカ人。多少落ち着きがないが、傭兵経験を持つ。機動部隊の管理権限を持つ。

C-5…アイテム管理の最高責任者。推定40歳同じく傭兵経験を持つ。

C-11…特殊装備の開発者。非常に優秀だが、研究に没頭して食事を忘れることもある。

C-12…傭兵経験を持っている訳では無いが、C-3とC-5とも対等に戦うことができる実力者。C-1ですらも正確には把握していない人物。推定30歳の日本人男性。異常種と何らかの関わりがあると考えられている。




機動部隊γ-1…傭兵経験を持ち、銃の扱いに慣れている集団が配属されている。基本的には財団にとっての敵を排除する任務を負う。


機動部隊Δ…モンスター専門の処理部隊。C-5から与えられたアイテムを完璧に使いこなす。


諜報部隊…財団外での情報収集を担当する。隊長はオルソン・パーマネント







本日も見てくださりありがとうございます!!深夜にも投稿しているのでぜひ見に来てください!!


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