第14話【決着】暴走の果て (他視点あり)

「やめろ…もう止めてくれ!!」



「こんなことってありなのかよ!!」



異常種は倒れ込んでいる数人の教員の内、1人の教員に目をつけると爪で体の様々な部位を切断し始めた。切断されている教員は既に主要な臓器を異常種の爪によって傷つけられた事によって出血多量で亡くなっていた。



そして四肢等体のパーツを全て切断した後、周囲の人間を引きずって自分の前まで持ってきて同じ様に殺そうとした瞬間、コアを破壊され仮死状態になっていたゴーレムが立ち上がった。



異常種は自分の前まで持ってきた人間を蹴り飛ばして、ゴーレムに向かって走り出した。走っている最中に姿を消し、先程と同じ様に背後から貫こうとした…しかし、暴走状態に陥いり、能力が向上している今のゴーレムには全く通じなかった。



背後から貫くために突き出した爪はゴーレムの拳で叩き割られ、腕の部分を掴まれてしまった。ゴーレムは腕をそのまま引きちぎった後、自分の目の前まで持ってきて『衝撃波』を至近距離で当てる事に成功した。



数十分前の衝撃波を耐えることが出来た異常種は、今回も耐えることができると高をくくっていたのかまともな防御態勢を取らなかった。



暴走状態に陥っているゴーレムは通常時の数倍以上能力が向上するのだ。結果、まともな防御態勢を取ることが出来なかった異常種は上半身が吹き飛んでしまった。



ゴーレムは野獣のような咆哮を上げながら、異常種の下半身を何度も殴りつけた。異常種は下半身だけになったにも関わらず、失った上半身を再生しようと懸命に耐えていたがついに下半身も完全に破壊されてしまった。



『異常種:スキンラバーの討伐に成功しました。ゴーレム(真名アロン)は暴走のスキル及び、自制のスキルを獲得しました。続けて暴走状態に陥っているため自動で自制のスキルを使用します。暴走状態の解除まで残り180秒』



ゴーレムは下半身が見えなくなった後も、異常種が居た地面を手当たり次第に殴リ続け、180秒が経過した。



暴走状態が解除されたゴーレムは地面を殴るのをやめて、自らの主がいる場所へと走り出した。知能が高いため、どうするべきなのかを知っていたのか、内ポケットからポーションを取り出して、体に振りかけた。すると主の体の傷は、みるみるうちに回復した。







(アロン視点)


『種族特性:言語理解が思念共有に進化しました。以後脳内で会話をすることができるようになります。』



種族特性が進化したことによって、自然な会話をすることができるようになった。その事に喜びながらも、必死に呼びかけた…



『目を開けてください!!傷は治りましたから、何も問題はありません!!』


何度も何度も呼びかけ続けたおかげか、ついに主は眼を覚ました。


「ん…」


『大丈夫ですか?』


「もしかしてアロンか?」


『そうです!!こうやって喋れるようになってとっても嬉しいです!!』


「そうか…異常種はどうなったの?」


『なんとか倒しました!!』


「そっか…一つ聞いてもいいかな?」


『何でも聞いてください!!私に答えられることでしたら何でも答えます!!』


「アロンのコアは破壊されてしまったんじゃないの?今は大丈夫なの?」


『…私もよくわからないのですが、『規定の条件を満たした』と声が聞こえたんです。暴走する代わりに全てを治してやるって言ってくれたんです。』


「そうだったんだ…被害ってどんな感じかわかる?」



『教員のテイムしているモンスターが殺されてしまいました。教員も数人殺されてしまって、この会場にいる生徒たちは皆パニックになっています。それと、生徒も数名大怪我を負っているようです。』


「ありがとう…状況を報告してくれて。これで他の教員が来ても冷静に事情を話すことができるよ…亡くなった人は無理だけど、大怪我なら俺みたいにポーションを使えば治せるから大丈夫だ思う。」


主様はそう言ってゆっくりと立ち上がった。すると、先程と同じ声が聞こえてきた。



『ツインヘッド・ミドルゴーレム(真名:アロン)LV18は、スキンラバーLV30を討伐しました。LVが25に上昇しました。』



「LV30?あのモンスターが召喚された時はLV18だったはずだよな?」


『そのとおりです。あくまで仮説になりますが、人間やモンスターを殺したことでLVが上昇したのではないでしょうか?教員がテイムしていたモンスターは少なくとも私よりは高かったですし…』


「それなら納得できるな…」


主様が装備を私に返しながら、話しかけようとしてくれた瞬間に再び声が聞こえた。



『LVが25に到達したため、進化することが可能です。今すぐ進化しますか?』



「アロンどうする?今すぐ進化する?」


『今すぐ進化したいです。主様を守れるように!!』


「分かった。それじゃあ進化を始めてくれ!!」


『進化を開始します…』


私の体が光り輝いた瞬間、目に見えてわかったのは先程よりも体が大きくなったことだった。それ以外にも更に知能が上がったようだ…


『ツインヘッド・ミドルゴーレムはツインヘッド・ゴーレムに進化しました。詳細を表示しますか?』


主様は私が更に強くなったことに喜んでくれているようだった。そして私に向かってこう言ってくれた。



「アロンは俺や皆のことを守ってくれただな!!確かに亡くなってしまった人やモンスターもいるかも知れないけど、助けることが出来た人も多いはずだ。アロンはよく頑張ったよ!!」




そう言ってくれて嬉しかったが、私にとって今回の戦いは『もっと強くならなければ…』と感じざるをえない戦いだった…









次回詳細を表示させていただきます!!

今日も見てくださりありがとうございます!!


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