第130話 作戦
ケイトがケミルト王に挨拶をしに行くとケミルト王は疲れ果てた様子であった。
今、アクアリア王国の内政は少しうまく行っていないらしい。
勿論、表面上は問題のないように見えるのだが、貴族達の中にはリュクスを王太子にした事に不満がある貴族も多いようだ。
特に、レミントを祭り上げていた貴族達は不満を募らせている。
いい具合に操りやすかったレミントと違い、きちんと意思があり、ケミルトやシェリーヌのように成長してしっかりしてきたリュクス。レミントからそのリュクスに変わった事が不満なのだ。
面倒くさがりでなんでも言う事をその通りに任せてくれそうなデルガーを次に据えたかったようである。
リュクスを王太子に据えてからも、貴族達の反発は多く、内政で手を抜かれたりする事もあるそうだ。
それに、その他の貴族も、独身のリュクスの縁談を持って来ては推し進めようとしている貴族達もいるそうだ。
だからこそ、リュクスはケイトとの子供を急いでいるとも言える。
子供ができてしまえば、縁談の数は減るだろう。
ケイトは、その話を聞いて苦笑いだ。
つい先日卒業したばかりのケイトにとって、少々にが重いと感じてしまう。
この後は、ケミルト王に誘われてケイト達は晩餐会の予定である。
それまでの間、他の貴族達の目にとまり、噂が立つようにとリュクスに協力を頼まれて、腕を組んで場内を仲良く歩き、中庭の花を眺めて城の中をデートした。
城には色々な貴族達が仕事をしている為、2人の仲睦まじい姿を目にした事だろう。
場所は変わって城の中にある一室。
アリッサとリオが泊まる部屋で、2人が話をしていた。
「リオはあのまま放っておいてもいいの?」
「え、それは、ほら、これは決まっていた約束事だし、それに、私はまだそうゆう事は……」
「嘘ね、興味ありますって顔に書いてあるし、この間も聞いてきたじゃない! それに、前よりもケイトの事、意識してるんでしょ?」
アリッサの言葉に、リオは無言で頷いた。
「人間はめんどくさいのじゃ、主は人類最強なのじゃ、強い雄に惚れるのは当たり前なのじゃ、子を欲しいと思うのも当然なのじゃ。恥ずかしがる事はないのじゃ」
「よく言ったわ、ミステルト! リオ、恥ずかしがる事ないのよ!今から作戦立てて、ケイトの寝込みを襲うわよ!」
「ええ!そんな、寝込みをって」
「主は寝てても手強いのじゃ、協力するのじゃ!」
こうして行われる女子会は、リオの決意が固まらぬまま、話だけ進んでいくのであった。
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