第129話 出迎え

ケイト達はゆっくりとした旅をして、アクアリア王国に辿り着いた。


「やっと着いたわね、早くシャワーを浴びたいわ」


「私はお湯に浸かりたいわ〜」


「2人とも、だらしないのじゃ!」


長い旅だったので、途中で村に寄ることはあったが、風呂などは無かった為、濡れたタオルで体を拭うくらいであった。


その為、アリッサとリオはアクアリアに着いたら風呂に入りたいとずっと言っていた。


最近まで、ウィンダムで毎日風呂に入れる環境だった為、今回の旅は前までよりも過酷に感じられた。


アクアリアの街について、門を潜った後は、そのまま城へと向かう。


ケイトの立場上、はじめにクロノソレイユ王として、アクアリア国王ケミルトに会いに行く必要がある。


城について、ケイト達が馬車から降りると、ケミルト王の前に、王太子リュクスがケイトに飛びついてきた。


「やっと来てくれたんですね、ケイト!」


ケイトは反射的に旅がついて来たリュクスを反射的に受け止め、ぶつかる力を逃す為に一回転回った。


「会いたかったわ、ケイト!」


満面の笑みで出迎えたリュクスに、ケイトが挨拶する前にアリッサがリュクスに苦情を言った。


「一応私の前なんだけど?」


「でも、私とケイトの関係は了承済みでしょ?」


「グヌヌ、そうだけど……」


魔王騒動終結の時に、国の結びつきを強くする為、アリッサはケイトに嫁いだ。


その時に、アクアリアは魔王の種を貰う約束をしている。


リュクスは将来、未婚の女王として魔王ケイトの血を引く時代の王を産む契約をしているのだ。


なので、リュクスはケイトの公然の秘密の愛人と言う事になる。


それが、アクアリア王国が、ケイトとの結びつきを強くする為に取った行動であった。


ちなみに、リオはアクアリアに召喚された勇者であるが、アクアリアとの結びつき、しがらみはなくなっている。


と言う事で、アリッサはもちろん、エルサ、リオも、リュクスの愛人をその時に認めており、アクアリアにケイトが滞在する間は、リュクスとの関係も考慮される。


もちろん、第一子はアリッサが産むことが望ましいが、リュクスも攻めに出てくるだろう。


次は自分の番ではと、決心をしていたリオもやる気であるし、ケイトを巡る三つ巴の争奪戦の幕があがろうとしているのであった。


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