第128話 アクアリア王国までの道中

ケイト達はアンクリシア王国の拉致被害者達の回復を見届け、次の旅に出発する事になった。


ローザの体調も回復して、トビーも最後の1人まで回復を見届けたので、アンクリシア、ウィンダムで家臣となったメンバーはクロノソレイユへと向かってもらう事となった。


長く滞在したウィンダム、アリッサの実家を出て、ケイト達は元の旅のメンバーであるケイト、アリッサ、リオ、ミステルトの4人でまた旅をする事になる。


次に向かうのはアクアリア王国である。


今回は徒歩ではなく、自前の馬車である。


久々の馬車の旅。道中、過去に通ったのと同じ道を通る。


前回はこの道中にフェルメロウに予言を貰って進んだ先で、リュクスにであったのだ。


その時はドラゴンにリュクスが襲われており、それを助ける為にドラゴンを消し飛ばした。


今回はドラゴンミステルトと一緒にその道中を進んでいる。


「今度は私にとっての里帰りになるのかしら? そういえば、私もアクアリアの勇者じゃなくなったんだしコレも返さないとね」


リオがそう言ってポンと腰につけたポーチを叩いた。


それはアクアリアの勇者として旅を始める時に貰った魔法の鞄だ。

勇者時代の装備もこの中に入っている。


旅の途中から町で買った普通の武具を使うようになったし、今はケイトに貰った武具を装備しているので、使い方も無くなってしまったし、返した方がいいだろうと、リオは考えているようだ。


「でも、勇者としての旅の途中は武具に頼らない戦い方をしろって言われてたのに今では化け物みたいな性能の武具つけて旅をしてるのよね」


過去を思い出しているのかリオは苦笑いだ。


勿論リオは勇者パーティから離れて、一般的な武具でユイトと共に旅をして経験を積んだので今、ダンジョン深くのミスリルの武具どころか聖剣を使いこなせるまでに成長したからこそケイトにそれほどの武具を渡されているのだが。


「もう使ってない訳だし返したらいいさ。一応、アクアリア王国の国宝だ」


「……そうね」


リオは、ケイトの返事を聞いて思い出した。


ケイトに渡される物全てが規格外すぎて忘れがちになるが、リオが旅で使っていた物は、アクアリアの勇者の為に国が用意した国宝だ。


国宝。


そう聞くと急に高価な物に感じて、アクアリアに着いたらすぐに返そうと思うリオなのであった。


こうして、アクアリア王国までの道中は、何のトラブルもなくのんびりと馬車は進んでいくのであった。

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