第127話 翌日

ケイトは、朝目を覚ますと慌てて体を起こした。


「ん……」


ケイトが飛び起きた衝撃に、隣で寝ていたアリッサが身じろいだ。


「本当に、卒業したんだ……」


隣で眠るアリッサを見て、昨日の事を思い出してそう言葉を漏らし、顔を赤くした。


ケイトは、気持ち良さそうに眠るアリッサの頭を優しく撫でる。

指通りのいいサラサラの髪の毛が気持ちよくて、ついついそのままスゥっと手櫛を通した。


これは、海外の映画とかでやっていた意味がわかるかも。


ケイトはアリッサが寝ている事をいい事に、アリッサのおでこに口付けをした。


「ケイト、なんでおでこなの?」


キスをし終わって顔を離した時に、ケイトとアリッサの目があった。


「あ……おはよう」


ぎこちない挨拶をするケイトをクスクスと笑いながら、アリッサはケイトの頭に手を回し、引き寄せるようにして唇を重ね合わせた。


このまま昨日の続きでも始まるのかと思ったが、部屋のドアがノックされて、アリッサの乳母の使用人の声が聞こえた。


「お二人とも、朝食の準備ができておりますが、皆様と一緒に召し上がられますか? それともこちらにお待ちいたしましょうか?」


2人の甘い雰囲気はその言葉で途端に吹き飛び、急に恥ずかしくなった2人は、慌てて返事をして服を着ると、朝食を食べに食堂へ向かった。




朝食を食べ終わった後、アリッサはある人物に拉致された。


誰もいない中庭に連れてこられたアリッサは、声をひそめて質問をされた。


「で、どうだったの?」


アリッサを拉致したのはリオであった。


ケイトの妻の1人として、アリッサの後には順番が回ってくる人物である。


第三王妃であるし、そういう事はリオのタイミングでいいと言われてはいるが、同じケイトの妻であるアリッサが済ませてしまったとなれば自分も意識してしまう。


順番であれば次はエルサだろうが、旅の間に何か起こるならその時は繰り上がって自分の番かも知れない。


勿論、嫌なわけではない、むしろ、ケイトならと思ったから第三夫人になったのだし、望む所である。


リオは、考えている間に自分の中で盛り上がり、最初はいずれは。などと言っていた事がどんとこいと言う意識に変わっている事に気づいていない。


そもそも、こうしてアリッサに話を聞くと言う事はアリッサに次の時はとアピールしているような物なのだ。


アリッサは、リオの気持ちも分かるとばかりに、昨夜の、自分の幸せを共有するように話すのであった。

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