第125話 訪問

その日、ガーテル伯爵の家に来客が訪れた。


リボルの祖父にあたるタイニー男爵である。


タイニー男爵は広間に通されると、ガーテル伯爵が来るのを待った。


タイニー男爵がこの家に急ぎやって来たのは、ある手紙を受け取ったからだ。


リボルとリボルの母は、今は屋敷の一室に幽閉されている。

監視がつき、風呂もトイレもガーテル伯爵が信頼する使用人に監視されていた。


しかし、一度だけ、幽閉に狂ったようにリボルが暴れた事があった。


その時、野次馬の使用人が集まって来たのだが、そのうちの1人にリボルの母は宝石を握らせて父タイニー男爵に手紙を届けるように頼んだのであった。


その使用人は、2人の監視の為に割いた使用人の穴を埋める為に入った新人であり、だからこそ、野次馬などという職務怠慢を起こしていた。


結果、その行動は上手くいき、リボルの母が今の状況を綴った手紙がタイニー男爵にたどり着いたのだ。


タイニー男爵が待つ部屋に、ガーテル伯爵が入って来た。


「ご無沙汰しています。本日はどう言ったご用件で?」


爵位と言った面ではガーテル伯爵の方が上だが、義理の父と言う事で、丁寧な対応をするガーテル伯爵に、タイニー男爵は咳払いをしてから話し出した。


「娘から手紙が届いた。君に小さな部屋に四六時中押し込められ、風呂まで監視がついている。助けて欲しいと言った手紙だ。どうなっているのかね?」


タイニー男爵の問いに、ガーテル男爵はため息を吐いてから答えを返す。


「お義父さんその事などですが、実はリボルが問題を起こしましてね」


ガーテル伯爵はタイニー伯爵にこれまで者の経緯をはなした?


リボルがウィンダムが新たに国交を開こうとしているクロノソレイユ魔国の王並びに王妃に対して行った無礼、そして、家に帰って来てからの言動。そして、それを助長するかの様な妻の発言。


それを加味してマグノリア女王に報告した結果、ケイト王にこれ以上の迷惑をかけなければ、最低限の謝罪でずせてもらえる段取りが整っている事。


その為に、新しい離れを建てて、不自由のない暮らしの準備をしている事。


そして、今は国内にまだケイト王が滞在している為、これ以上の問題を起こしては取り返しがつかない為に幽閉をしている事などをしっかりと説明した。


ガーテル伯爵の話を聞いた後、タイニー男爵は疲れた様に目頭を揉みながらため息を漏らした。


「迷惑をかけてすまない。私は、娘の育て方を間違えてしまったのか……」


「それを言うなら私もです。甘やかすだけではなくきちんと躾けなければならなかったかと今になって思います」


同じ親として、問題を起こしてしまった子供を持つ親として、反省や愚痴を言い合い、その後に酒を酌み交わしながら義理の親子の仲は深まった。


全ては愛する子供の命の為、厳しく監視しようと言う協定が結ばれたのであった。



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