第124話 家族乱入
エリーゼとキースが返事をしようとした時、部屋に入って来たのは3人の男性であった。
「「「ちょっと待ってくだされ!どうか、どうかエリーゼを連れて行くのだけは」」」
「だまらっしゃい!」
バン、バン、バン! と勢いよく男性3人の頭をドレスを着た女性がハリセンで叩いた。
「これはエリーゼの大事なお話です!貴方達の我儘で口を挟んでいい問題ではありません!」
男性はエリーゼの父と兄2人で、とても過保護であった。
その3人を叩いた女性はエリーゼの母である。
「エリーゼ、これは貴方にとってチャンスですよ。この家を出なければいつまでもこの男達に付き纏われ、気づいた時には歳をとって誰にも見向きされないでしょう」
エリーゼの母は、ビシッとエリーゼを指差して叫んだ。
「はい、お母様」
「キース君!」
「え、俺ですか!」
突然呼ばれたキースは驚いて背筋を伸ばした。
「貴方もチャンスですよ! ついにエリーゼと対等な立場になるのです! 身分に遠慮し無くても良くなるのですよ! エリーゼが縁談を断って今まで独り身でいるのは貴方を待っているからですよ! 私が許可します! 男を見せなさい!」
ケイトとアリッサが結婚しているように、この世界の結婚適齢期は地球より低い。
なので、貴族のエリーゼがこの歳まで独り身と言うのは、父達が過保護といえど珍しい事なのだ。
エリーゼの母の言葉に、キースは腹を括って緊張で乾いた口を必死に潤す為に喉を鳴らして少ない唾液を飲み込んだ。
「エリーゼ、俺はケイトの家臣としてお前に相応しい男になる。だから、お、俺と一緒にクロノソレイユに来てくれ!」
「あまい!そんな布に何枚も包んだ様な言葉でちゃんと伝わると思わない! 大事な事はストレートに言いなさい!」
「はい! エリーゼ、俺と結婚して一緒にクロノソレイユに行こう!」
「キース、私はその言葉をどれほど待った事か。だけど、付き合うのを飛ばして結婚と言うのは___」
「エリーゼも! キース君は意を決して本音を言ってくれたのです! 誠心誠意返事をなさい!」
「キース、私も大好きだ!よろしくお願いします!」
ロマンチックのかけらも無いプロポーズだが、発展の無かったキースとエリーゼの関係は一足飛びに進んでいく。
「そんな!せめてキースを婿にしてこの家に___」
「あ?」
エリーゼの父が口を挟もうとしたが、母のひと睨みで黙った。
「この家には跡取りも嫁も既にいます。いつまでもエリーゼを束縛するんじゃありません!」
エリーゼの家族が大騒ぎする中、蚊帳の外にいるケイトとアリッサは出された紅茶をゆっくりと飲んでいた。
「何はともあれ2人は来てくれそうだな」
「そうね。カップルも増えたしベイビーラッシュも来そうだわ。ケイトも、ちゃんと3人分頑張ってね」
「うぇ、分かった」
話の流れで飛び火したケイトであったが、話の流れでは、ついに彼の卒業も近そうである。
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