第121話 鳥籠ができるまで
「くそ!なんでこんな事になったんだ!」
「リボルちゃん、今は我慢よ。この状況を知ったらお爺様が黙っていないはずよ」
リボルとリボルの母は、ガーテル家の一室に閉じ込められていた。
幽閉に近い。
外に出られないように窓は板で塞いであり、灯りは常に魔道具をつかっている。
風呂やトイレの時は出口にいる兵士がついて来る。
ガーテル家はリボルとリボルの母の為に庭を潰して離れを建築中である。
この離れは、ウィンダム王国が2人に与えた罰の為の屋敷である。
リボルに対して、ケイトが出した条件は金輪際ケイト達の前に姿を見せない事。
これを素直にリボルが聞いて、ケイトがウィンダムを出るまで大人しくしているようなら、その後も心を入れ替えて学園を出て、後継ではないものの国の為に成長してくれるならば問題はない。
しかし、ガーテル伯爵。つまりリボルの父が城から帰って来た時の状況を見て、その甘い考えを改めた。
信頼のおける執事長に、2人を自分の部屋から出さないように言付けてあったのだが、ガーテル伯爵が帰って来た時、2人は部屋から出せだの不敬罪だの色々と騒いでいた。
この2人を野放しにすれば、近い未来に問題を起こす。なんならすぐにケイト王に文句でも言いに行きそうであった。
その為、2人の命を守る為、幽閉して、2人を籠の鳥にする事を決めたのであった。
その為に、離れという鳥籠を超特急で手配、建設し、それが完成するまでは2人を部屋に閉じ込めて信用のおける見張りを置いた。
ガーテル伯爵は今日も仕事があるので城に行っている。
その為、2人は見張りを説得。いや、上から目線の命令を繰り返すのだが、見張りは聞く耳を持たず反応すら見せない。
「早くなんとかしてくださいまし、お父様!貴方の娘と、かわいいかわいいリボルちゃんがこんな目にあってますのよ!」
「母上……」
リボルは、母が木材で閉ざされた窓に向かっておよよと言った風に服の袖で目尻を拭きながら叫ぶのを見て、手を強く握りしめる。
「ケイト、見てろよ。ここから出たら俺様の手で殺してやる。落ちこぼれの弓術士が何をやったか知らないが、化けの皮をはいでやるからな……」
リボルは恨みのこもった声で静かにつぶやくのであった。
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