第112話 白の空間
ケイトはアリッサ達と合流して拉致被害を馬車に乗せた後はウィンダムへ向けて移動中であった。
結局、ユーリカもユカリも見つからず、アンクリシアには護衛について来た兵士達を残して一度ウィンダムに戻る事にした。
馬車の中で、ケイトはアリッサに膝枕をしてもらって、深い眠りに落ちた。
眠ったケイトは、思惑通りにあの白い空間までやって来た。
「ふふふ、こうすればいつでもここに来れるって思っちゃダメだよ? 今回は残念なお知らせに参りましたぁ」
ケイトが何かを言う前に、少女の姿のフェルメロウはそう話した。
どうやら、たまたまタイミングが重なっただけでこの方法でいつでもフェルメロウに会える訳ではないらしい。
「それで、先に残念なお知らせを聞こうか」
「先にも何も、あなたが聞きたい事と同じだと思うわ。残念だけど、向こうの世界の時間は動き出したわ。今異世界にいる子達が向こうに戻る事はできない。スキルを奪おうと、何をしようとね」
以前の魔王騒ぎの時に帰りたいと言った異世界人達は全員帰ったと思ったフェルメロウは、地球の時の動きを時魔法無しでゆっくり動かすのは疲れる為、さっさと動かしてしまった。
その為、もう異世界を行き来する方法はない。
ケイトは、帰りたいと叫んだ
「そうか……」
「ええ。だから泊圭人、あなたがもしこの世界に異世界召喚が起きた責任を感じているなら、過去の勇者達の様に異世界人がこの世界で幸せに過ごせる様な国を作りなさい。ふふ、とは言ってもあなたが責任を感じる必要はないのだけどね。でも、あなたが思う異世界人が幸せに過ごせる国は、日本人が住みやすい国になるでしょう?今回逃げた子の事はさておき、あなたの国にはこっちに残った異世界人がいるわ。あの子達を幸せにする国を作るのでしょう? なら一緒よ」
フェルメロウはケイトの国づくりに興味があるのか、にこやかにこれからの話を話した。
「ああ、頑張って皆んなが幸せに暮らせる国を作るよ」
「頑張りなさい。それじゃ、私は忙しいからまたね!」
フェルメロウが手を振ると、いつもの様にケイトの意識はスゥッと薄れていった。
遠くの方で、フェルメロウが「焦ったわ。まだ残ってた子が居たなんて」などと喋っていたが、ケイトの耳に届く事は無かった。
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