第107話 通信

ケイトがリモート会議にて今後の対応を五大大国の王達と話している時、ケイトにエルサから連絡が入った。


五大大国にある遠見の鏡より上位の物で、ケイトが返事をすると目の前にARモニターの様な物が現れてエルサが映し出された。


それを見て、五大大国の王達は驚いて質問がモニター越しに飛んで来るが、一旦無視してエルサと話をする。


隣にいるマグノリアも何か聞きたそうだが、グッと堪えている様子である。


「ケイト、今はダメだった?」


周りが騒がしいのでエルサが気を遣ってくれるが、わざわざこれを使うのは緊急事態なのだろうと考えてケイトは首を横に振った。


「大丈夫だ。どうした?」


ケイトが聞き返した事でエルサは急いで連絡した要件を話し始めた。


クロノソレイユにアンクリシアの軍が攻めて来てそれを捉えた事、そしてその騎士を尋問した所、アンクリシアの企みを全てゲロった事。


そしてその内容を魔道具にて録音済みだと言う事を報告してくれた。


「でかしたぞ、エルサ!」


ケイトが褒めてくれた事にエルサは頬を少し赤くしてゆっくりと頷いた。


ケイトや五大大国の王達が話し合っていた事はこのエルサの報告で全て解決する。


「エルサよ、よくやったの。ケイト王と話すのは久しぶりだろう? 後の会議は妾達がやっておくゆえ、このままケイトとゆっくり話すといい。ほら、ケイト王、行きなさい」


「マグノリア様、ありがとうございます!」


エルサはケイトの隣から声をかけたマグノリアに礼を言ったが、マグノリアは首を横に振って否定した。


「エルサ、お前はもうケイト王の妻じゃ、私を様呼びするのはケイト王の格を下げる事になる。マグノリア王か、さんでよろしい」


本来そこまで気にする必要のない問題なのだが、これから王の隣に立つ女性としてのマナーをマグノリアは教えた。


「はい、マグノリア王」


エルサは元々自国の王であるマグノリアに緊張しながら様付けをやめた。


「ほら、ケイト王、さっさとお行きなさいな」


マグノリアに言われて、ケイトは会議を中座した。


ケイトは城で自由にしていいと言われている客間に来ると、エルサに今一度礼を言った。


「ありがとうエルサ、助かったよ」


「いえ、私は何もしてないもの。指揮を取る暇も無かったわ。クロノソレイユの騎士って強すぎじゃないかしら?」


クロノソレイユの軍は少数精鋭を体現化したような軍である。


いや、国としての武力が異常である。


国王は地上一階層の王。


王妃の1人は異世界勇者で、残り2人は学生期に魔王によって鍛えられた精鋭


騎士の1人はダンジョンの一層を統べるドラゴン


そして、他も騎士の3人が異世界勇者であり、残りも王妃と同じ魔王の知識を与えられた精鋭。


そしてその全員が地上一階層で誰も辿り着いていないダンジョンの下層の武器を与えられている。


そんなクロノソレイユ魔国に喧嘩を売ったアンクリシア王国の運命は今、五大大国の王によって話し合われている。


そんな事はさておき、久々に最愛の夫と話すエルサの姿は普段の凛々しい姿とは違って可愛らしかったとか。


覗き見していた家臣が話しておりました……にゃん

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